ZUIKO AUTO-ZOOM 35-80mm F2.8

OMズイコー最後のレンズにして最高描画の大口径標準ズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35-80mm F2.8/ズイコー 標準ズーム 35-80mm F2.8

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-80mm F2.8
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★
  • 希少性  ★★★★★
  • 人気度  ★★★★☆
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-80mm F2.8

◆愛称 「ずーむだま」
OMズイコーでは35-70域の標準ズームは、35-105も含めると6本もある。zuiko 35-80mm/f2.8はその中でも極めて優秀なズームだ。私がつけるレンズへの愛称にはちょっとしたルールがあって、優秀レンズに対しては称号として「たま」を付けるようにしている。OMズイコーのF値2.8通しの高級版ズームレンズ。なので「ズーム玉」だ。

◆良いところ
1994年11月、10年という時を経てOM3がOM3Tiとして復活した。このzuiko 35-80mm/f2.8はOM3Tiとのセット販売向けに特別開発されたものだった。

このレンズの性能を考える時にOM3Tiがどういう目的で再現されたかを考える必要がある。ちょっと歴史講義ぽくなるが、それまでの流れを説明する。

1986年7月OM-4Tiが発売開始。OM-4のマイナーチェンジだが、これはヒットしロングセラーになった。ところが同10月に発売のOM707が大失敗。その後AF特許の問題もあって、当分はAFに手が出せなくなった。1988年OM101を発売するがまたしても大失敗だ。その後しばらくロングセラーのOM-4Tiに頼って難をしのぐ。そして1994年11月、6年間ぶりの一眼の発売となるのがOM3Tiだ。

これまでビギナー向けで失敗しているので、今度のOM3TiはOM4Tiよりもより上位を目指すセミプロユーザがメインターゲットとなる。そのOM3Tiにセットとして開発されたのがzuiko 35-80mm/f2.8だ。当然プロも納得する妥協を許さない高性能レンズでなければならない。

こうして別格で秀逸、そして価格も格別なこのzuiko 35-80mm/f2.8が生まれたのだ。最高の性能なのは当たり前だ。ED(特殊低分散)ガラスや異常分散レンズがふんだんに使ってあり。まさにオリンパスの技術の粋を集中し威信をかけた開発だったに違いない。

◆悪いところ
問題はレンズが大きいことだ。

オリンパスはコンパクトさと描画性能の両方を優先したレンズが多く作っている。その犠牲になったのが絞りの明るさだ。明るさと引き換えにコンパクトで高い描画性能を実現してきたといっていい。

ところがこのレンズはズームで2.8と明るく高い描画性能。おのずと大きさが犠牲になる。他社のように描画性能を犠牲にしないそのこだわりは賛美すべきだろう。

OMズイコーとしては異質の62mmフィルタを使う。ここにきて49mm,55mmというフィルター系統一というこだわりを捨てた。それは思うにオリンパスとしても新しいZUIKO時代の幕開けのようなものを考えていたのではないだろうか。

ところが、OMシステムそのものが2003年生産及び販売を終了してしまう。もっと長く続けてほしかったものだ。OMズイコー最後のレンズは、オリンパスらしくはない大きく重たいレンズだが、華々しく素晴らしい描画性能を持った最新のズームレンズだったのだ。

◆エピソード
zuiko 35-80mm/f2.8は、前述のとおりOM-3Tiと同時発売になったOMズイコー最後のレンズとなった。(コシナOEM製のOM2000と同時発売のOEMズイコーレンズ、OM701/101用AFレンズを除く)

しかもOMズイコー最初で最後の花形フード。私はこの花形フードが欲しくてたまらなかった。

最初にヤフオクで落としたzuiko 35-80mm/f2.8には花形フードがついてなかった。なので、花形フードだけをあっちこっち探し回ったが出回っていない。それはそのはず、最後に発表されてたレンズだけに生産量がすくないのだ。それで致し方なくフード欲しさにもう一本zuiko 35-80mm/f2.8をヤフオクで落とした。

その大きさと重さのために、s zuiko 35-70mm/f3.5-4.5ほど気軽く持ち出せないが、ここぞというときに使っている。高級ズームらしい使用感だ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-80mm F2.8

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF

当時の最先端AFを実現したOMズイコー唯一のレンズ

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF / ズイコー AFズーム 35-70mm F4 AF

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF

◆愛称 「ろぼこっぷのてき」
80年代の初頭、これが発表された当時は、まだまだAF技術は発展途上であったので、コンセプト的な商品だったのだろう。

だが各社AF時代の幕開けとしてしのぎを削って発表していた。ペンタックスが一眼レフのAFとして初めて市販化し、次いでOLYMPUSがOM30とzuiko 35-70mm/f4 AFで実現。キャノンやニコンはまだまだ後発だったのだ。

当時はフォーカスセットが現在のようなリニア式モータなんてないものだから、普通のモータでフォーカスリングを手の代わりに回してくれる。たいして早くはないし正確ではないが、ゴッツイ駆動部が突起していてたいそう仰々しい。

当時私は、このAFという新時代の夜明けをカメラ屋でまさにこのOM30とzuiko 35-70mm/f4 AFで体験した。その第一印象が、「ロボコップででてくる敵側のでかくて動きの悪いロボ」だったのだ。

◆良いところ
OM-30に取り付つけ、M.インフォーカストリガーコード、ワインダーを併用することでピントのあった瞬間にレリーズされる「ゼロインフォーカス」機能による撮影が可能となるった歴史的なAFレンズだ。

ところで、このAFレンズと、コシナからOEMで供給されていたS ZUIKO 35-70mm/f4はAF機構部分を除いてレンズの形状はそっくりだ。レンズ機構はコシナが供給し、オリンパスがAF駆動部分を担当したのだろう。いずれにしてもS ZUIKO  35-70mm/f4は、AFに転用されるほどの評価があったということだ。

◆悪いところ
冒頭の愛称の説明でも書いたが、このレンズはAFの幕開けとして。ニコンやキャノンがまだ取り組んでいない段階でペンタックスに次いで発表された製品だ。

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF話題の製品となり、OM30との組み合わせによるオートフォーカスの必要性が注目され「ゼロインフォーカス」などAFによる新らたな可能性を提案した形となった。オリンパスとしてもどうだ~という気分だっただろう。

ところがだ。たいして人気を得ることはできなかった。当時のオートフォーカス一眼レフカメラは「ロボコップの敵」のように、でかくて動きの悪い未成熟の製品としてしか消費者には映らなかったのだろう。

そこに1985年2月、まさにAF革命が起きた。「ミノルタ α-7000」の発表だ。このオリンパスの努力をあっさり超える爆発的な超ヒット商品が登場したのだ。その数年後、私も、家族が増え、中古のα-7000に乗り換えたのだった。(現在また戻ってきたが・・。)

◆エピソード
前日のとおり私は80年代初頭の高校生のころカメラ屋の店頭で初めてzuiko 35-70mm/f4 AFを触った。自動でピントをあわせてくれるオートフォーカスというものに興奮したものだ。

だがなじみの店主は「こんなん役に立たたないよ」と鼻で笑う感じだった。まあそれもそうだ。当時としてはモータでのピント合わせは随分遅い。人間の力にはとても及ばないものだった。

「ゼロインフォーカス」といえばカッコイイ。だが、相手がこちらに向かってくる際にピントが合えばシャッターが下りる仕組み。つまりレンズ側のモータがあまりに遅いので、こちらから適正ピントにまで移動して撮影することを提案した商品だ。商品のデメリットを出さずにメリットに変えた売り方だ。まあさすがに商魂たくましいというか、、、モノはいいようだな。

ま、でも売れなかった。そんな使い方だけのためにはチト高すぎたんだよね。


<諸元>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 AF  良好 保存&常用

 

<作例>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4

どこか高級感のあるコシナのOEM。安定の描画性能

OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4 / ズイコー 標準ズーム 35-70mm F4
S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★
S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4

◆愛称 「せんぱい」
80年代初頭の高校生の時に初めて買ったレンズがOM10とキット販売されていたs zuiko 35-70mm F3.5-4.5だった。今回紹介するs zuiko 35-70mm F4よりワングレード下だった。文化祭だったと思うが、先輩がOM2Nとこのs zuiko 35-70mm F4を「どうだ~」と言わんばかりに誇らしげに持っていた。いいなぁと思ったものだ。

で、先輩が持っていたので「せんぱい」と呼ぶようになった。

◆良いところ
開放からなかなかキリッとしたシャープな描写をしてくれる。70側も35側もどちらも安定した描写性能だ。安心して使える感がある。

s zuiko 35-70mm F3.5-4.5ほどの軽さや携帯性は持っていないが、しっかりした作りを感じつつ、重量はとても軽い。プラレンズだが安ものの感じがしないのがいい。

◆悪いところ
高校生のころ男同士でこそこそ、女子の批評をしたことはなかっただろか。あの子はあの子よりかわいいとか、あの子よりスタイルがいいとか・・・。比較対象がいるから評価がしやすくなるものだ。

このs zuiko 35-70mm F4は、なにかと比較の基準にされてしまう傾向がある。

s zuiko 35-70mm F4よりzuiko 35-70mm F3.6は明るい。とか、
s zuiko 35-70mm F4よりs zuiko 35-70mm F3.5-4.5はちっちゃくてかわいいとか、
s zuiko 35-70mm F4よりzuiko 35-105mm F3.5-4.5は一層望遠が使えて便利だとか、、
こんな具合にである。

つまりは中立的な立ち位置にある。特徴がないのが特徴ということか。だが、特段大きな欠点もないのが特徴でもある。

◆エピソード
S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表している。コシナのOEM製だ。写りは納得である。

28-48mm F4のところでも書いたのだが、普通はOEM製だとしてもわからないようにするものであって、堂々と「これはよその製品だよ。うちでは作ってないよ。」とわざわざメーカが表記するなんてこれは他の製品なら珍しいことだ。オリンパスとしてはリスクをとったのだろうか。もし評判が悪くなった場合に「うちのじゃないもーん」と逃げ切れるとおもったのか?

でも結果としては高評価になったのだ。オリンパス純正でないにも関わらず結果素晴らしい評価を上げた。「S」が付けなきゃオリンパスの評判になっただろうに。

ところで、35-70mm F4 AFというOMズイコー唯一のAFレンズがある。当時はまだAF技術は発展途上であったので、コンセプト的な商品だったのだろう。このAFレンズと、このコーナーで紹介している35-70mm F4はAF機構部分を除けばほかはそっくりだ。全てコシナに作ってもらったとみるか、レンズ機構はコシナが供給し、オリンパス(もしくは他の外注企業)がAF駆動部分を担当したか、そのどちらかだろう。いずれにしても35-70mm F4は、AFに転用されるほどの評価があったということだ。

<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6

大口径を目指した妥協のない描画設計の標準ズーム

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6 / ズイコー 標準ズーム 35-70mm F3.6
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.6

◆愛称 「あごがれのずーむ」
35-70という標準ズームの帯域は本数が多い。

1994年奇跡の復活を遂げたOM3Tiと同時に「zuiko 35-80mm/f2.8」が発売されるまでは、このzuiko 35-70mm/f3.6が最高スペックの標準ズームだった。

私が高校生のころの80年代前半にはまだ「zuiko 35-80mm/f2.8」がなくて「zuiko 35-70mm/f3.6」が憧れの存在だったのだ。

◆良いところ
考えてみれば、コシナからOEM提供の「S ZUIKO 35-70mm/f4」があるが、0.4の差でしかない。性能はあまり違いが感じられないが、「zuiko 35-70mm/f3.6」の方が大きくズッシリしている。解像度も高く、コントラストよく色乗りのいい画質だ。

ところで、通常は「F3.5」が多い。にもかかわらず「F3.6」としたところがOLYMPUSらしい。おそらくだが、このわずか0.1のこだわりがあったに違いない。F3.5で設計した場合にわずかの品質低下が許せなかったのだ。

描画性能にこだわり、ギリギリ許せたのがF3.6だったのだろう。当時としてはF4が普通だったのでF3.5でもF3.6でも大口径ズームと認められたのだ。そんな0.1のこだわりを感じ信頼してこのズームで撮影してみようという気持ちにさせられるのだ。

◆悪いところ
「35-70mm」とはとても思えない望遠のような大きさだ。現在だったらF2.8でもおかしくないのにF3.6 だ。

当時はまだオリンパスはズームレンズの開発が始まったばかりで技術集積がこれからという時代。その時代のハイエンド版だ。大きさが犠牲になったのも致し方ないのだろう。

◆エピソード
たまたまなのか、ネットでゲットしたこの「高級35-70mm」は不満があった。1本目はレンズは申し分ないが筐体が傷が目立った。2本目は筐体はとてもきれいなのにレンズがちょっと曇っていた。

そこでネットは諦め、銀座の中古カメラ店数件をじっくり散策して、高かったが納得いくものをゲットしたわけだ。でもよく考えたら最初の1本目と2本目をニコイチすればいいのができたことに気づく。

そこで知り合いの修理士に頼んでつくってもらったところ素晴らしくいい状態のものができた。なので現在そっちをメインで使っている。後の銀座でじっくり選んだ方は現在売り出し中だ。

<諸元>

ZUIKO AUTO-

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5

軽量コンパクトで癖のない優秀な写り。最高の餅撒きズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5/ズイコー 標準ズーム 35-70mm F3.5-4.5
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★☆
  • 総合評価 ★★★☆

◆愛称 「ぷられんず」
S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表している。コシナのOEM製だ。小さく軽く性能もよい。銅鏡など主要部品の多くがプラスチックでできているが当時はプラによる銅鏡レンズはまだ珍しい部類だった。レンズまでプラスチックという噂があったが筐体のみプラでレンズはガラスだ。高校生のころ仲間に「プラレンズ」と言われてちょっとムカッとした記憶がある。

◆良いところ
重量190g。とにかく軽い。プラスチック製で安っぽいが、写りは期待以上だ。

コントラストが高く発色もクリアでシャープな写りを見せてくれる。

OM ZUIKOは35-70領域をカバーするズームが6本もある。その中では最も安価でコンパクトだが、最もシャープでかつ色乗りも良いのではないかと思う。

小型軽量で寄れるため旅行や登山等で活躍してくれる。クロ-スフォーカスと書かれた領域では30cm近くまで寄ることが出来、この当時のズームとしてはがんばっていると思う。

F値が変動するが、内部機構の工夫により、F4.5以上に絞ってあれば絞り環の表示どおりの絞り値で撮影できる。

銅鏡や絞りリングがプラスティックになっているところのだが、デザインで工夫されているのか全くチープな印象を与えるない。持って見て「あっ、かる~」って思っちゃう。

◆悪いところ
やむを得ないが、F値は暗く開放は変動する。

広角側では歪曲収差が少々目立つように思う。格子状の物体や建物はなるべく避けた方がいいだろう。

広角側の35-50mm前後ではシャープで非常によく写るのだが、テレ端では若干色が地味になるなど描写が落ちる傾向にあると感じた。

◆エピソード
80年代の初頭、私が生まれて初めて買ったカメラOM10のキットで付いてきたのがこのレンズだ。愛称の説明でも書いた通り、軽量のため銅鏡などの本体にはプラスチックを多分に使っている。今となっては小さく軽く性能も良く評判のいいレンズでお気に入りの一つなのだが、高校生のころこのレンズを手にしたての私はそれが安っぽくて不満だった。

所詮、付録でついてきた安物レンズというイメージだ。ズームはいいのだが、F4.5という暗さも不満だったし、コシナのOEM製で純正ではないというのも青二才の当時の私には劣等感の材料になっていたのだ。やはり、冷たくずっしりとした重みのある明るい単焦点がいいなとあこがれていたものだが、面白いもので月日がたち、現在では思い出とともに大切な宝のレンズになっているのだ。

OM開発責任者だったかの米谷美久氏はOMシステムの開発にあたって、「“大きい”、“重い”、“音が大きい”という三大悪を排除するのだ」という思想によりOMシステムを設計したという。このレンズは最もその思想に近いレンズだろう。今ではごもっともなことなのだが、当時の高校生(私)は、より大きく・よりずっしり重く・風格のあるレンズに憧れていたという、なんとも皮肉な話だ。

<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5

コーティング MC
画角  63-34°
レンズ構成 8群9枚
絞り・形式/範囲  自動/3.5-22
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  21.7×14.5cm(CF, 70mm)
ピント調節方式 回転ヘリコイド
全長/最大径  51mm/62mm
質量  190g
フード φ51mmかぶせ
フィルター φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥34,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

<作例>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

コシナOEM提供の軽量コンパクトで描写性能高い広角ズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4/ズイコー 広角ズーム 28-48mm F4

  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★☆
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★☆
S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

◆愛称 「こうかくずーむ」
ズームレンズのレビューはムツカシイ。なぜならさほど使わないからだ。はやりオールドレンズを楽しむのは性能の良い単焦点が中心となる。なのでズームレンズの所有はもっぱらコレクションとなってしまっている。愛称も実はあまり深く考えず単純に「広角ズーム」なのである。

◆良いところ
小型にまとまったレンズで、F値が暗いことを除けば使い勝手は良い。

色はちゃんと出ており、解像もまずまずシャープだ。

フィルタ径は49mmだが、フード取り付け用に55mmネジが外側にきってある。フードを付けたまま、フィルターやレンズキャップの着脱が可能だ。ZUIKOでは珍しい構造だ。

◆悪いところ
広角にしては最短近接撮影距離0.65mと、ちと遠い。小型のために仕方なかったのか。

28-48mmとは中途半端なスペックだ。正直「広角ズーム」と呼ぶのは違和感があるかもしれないが、このレンズが出た1981-82年頃当時は立派な「広角ズーム」だったのだ。

◆エピソード
S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表しているらしい。つまりOEMだ。

これは他の製品なら珍しいことだ。なぜなら普通はOEM製だとしてもわからないようにするものであって、堂々と「これはうちでは作ってないよ。よその製品だよ~」とメーカが表記するなんて。どうもこのころのオリンパスはズームには自信がなかったのか、35-70mmでも2本「S」が付いているものがある。これはコシナ製とのことで、小さく軽く性能もよく現在でも評判がいい。オリンパス純正でないにも関わらずだ。「S」が付けなきゃオリンパスの評判になっただろうに。オリンパスとしてはリスクをとったのだろうか。もし評判が悪くなった場合に「うちのじゃないもーん」と逃げ切れるとおもったか?でも結果としては高評価になったのだ。

私がこのレンズを購入したのも「S」が付いている(=コシナ製=評判がいい)から試してみたくなったのだ。もともとS ZUIKO 35-70mm/f3.5-4.5を持っているのだが、それと形状が似ていて、性能もいいのだろうとわくわくした。結果はもちろん期待通りであった。

それまではカメラメーカの純正レンズが優秀でレンズメーカのレンズは二流三流という思い込みがあったが、必ずしもそうではないことを教えてくれたレンズなのだ。こうして私はコシナも大好きになった。

<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

コーティング MC
画角  75-49°
レンズ構成 8群8枚
絞り・形式/範囲  自動/4-22
最短撮影距離  0.65m
最近接撮影範囲  74x49cm(28mm) 46x31cm(48mm)
ピント調節方式 回転ヘリコイド
全長/最大径  54mm/65mm
質量  300g
フード φ55mmねじ込み
フィルター φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥40,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4  良好 保存&常用

<作例>

ZUIKO AUTO-T 1000mm F11

現在、執筆中です。申し訳ございません。しばらくおまちください。
もはや天体望遠鏡。実用性は乏しいが、持っているだけで満足度あり。

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 1000mm F11/ズイコー 超望遠 1000mm F11

ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★☆
ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5

◆愛称 「うちゅう」
1972年に発売が開始されたOM-SYSTEM(デジカメのOM-SYSTEMではない)だが、このシステムのキャッチフレーズが「宇宙からバクテリアまで」だった。オリンパスはそもそも老舗の顕微鏡メーカーだ。「バクテリア」はわかる。だが「宇宙」は?この宇宙の領域の責任を担うのは当然zuiko 1000mm/f11ということになる。もちろん、Tマウントなどのアジャスターで他メーカーの望遠鏡との接続はできたが、それではOM-SYSTEMとしてのキャッチフレーズには当てはまらなくなる。オリンパス得意のマクロ領域は充実した機器構成だ。それに反して宇宙領域はこれ一本。責任重大だ。ということで「宇宙」ということになった。

◆良いところ
・・・・

◆悪いところ
・・・・

◆エピソード

・・・・

<諸元>

ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5

コーティング MC
画角  4°
レンズ構成 4群6枚
絞り・形式/範囲  自動/6.5-32
最短撮影距離  11m
最近接撮影範囲  55x37cm
ピント調節方式 ラック&ピニオン
全長/最大径  377mm/111mm
質量  2800g
フード  組込み式
フィルター φ100mm ねじ込み
発売時の価格  ¥312,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5

古い設計の超望遠だが古く感じない風貌。まさにエイリアンだ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5/ズイコー 超望遠 600mm F6.5

ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★☆
ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5

◆愛称 「えいりあん」
zuiko 600mm/f6.5は(当然だが)全長も長く377mmもある。それに2800gと重い。。フォーカシングは通常の銅鏡のリングではなく手前下についた左右のノブを回す形状だ。(これをラック&ピニオン方式と呼ぶそうだ)

ありがたいことにフード内臓式なのだがこのフードがでかく長い。なので先端部分はこの大きなつるつるしたフードで覆われている。そんな、この大きく、黒く、特徴的な形状は見るからに「エイリアン」のイメージそのものだ。

◆良いところ
zuiko 600mm/f6.5はとても所有欲を満たしてくれる望遠レンズだ。望遠らしい活動ができる。あまり使いこなしていないので描写についてはこれからの調査だ。

ZUIKOにしては、大きく重たいレンズだが、天体観測には最適だ。(コマ収差がきになるが。)

◆悪いところ
大きく重たい。使うことはめったにない。保管場所とカビ対策に悩むところだ。おかげさまで専用のアルミバックがあるが、これがまた大きくて邪魔になる。従って家には置いていない。

◆エピソード
OMズイコー レンズを収集し始めるとやはり全て知り尽くしたくなるものだ。だがzuiko 600mm/f6.5はめったに出現することがない。なのでちょっと割高だったがebayで購入した。

届けられたブツは小学校の頃の理科室の匂いがした。古いアルコールの匂いだ。前所有者はしっかりとアルコールで磨いてくれたのだろうか。ただ、古いアルコールなのか、なかなかこの理科室のにおいは消えず、このレンズを使うときはなにかの実験をしているような気分になる。

このzuiko 600mm/f6.5を試したあとは1000mmをゲットしようと考えていたのだが、このレンズを使ってそんな気にはならなくなった。大きく重たいのが理由だ。1000mmともなると置き場所にも困るだろう。私の物欲センサーはこれ以上のデカイレンズを求めなくなってしまった。そのため私がもっている中では最大の焦点距離のレンズとなった。本当は1000mmを入手すればOMズイコーコレクションはコンプリートするのだけれど。

<諸元>

ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5

コーティング MC
画角  4°
レンズ構成 4群6枚
絞り・形式/範囲  自動/6.5-32
最短撮影距離  11m
最近接撮影範囲  55x37cm
ピント調節方式 ラック&ピニオン
全長/最大径  377mm/111mm
質量  2800g
フード  組込み式
フィルター φ100mm ねじ込み
発売時の価格  ¥312,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-T 600mm F6.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO REFLEX 500mm F8

OM唯一のミラー。OMらしい小ぶりで優秀描写

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO REFLEX 500mm F8/ズイコー 反射望遠 500mm F8

ZUIKO REFLEX 500mm F8
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★★
ZUIKO REFLEX 500mm F8

◆愛称 「れふれっくす」
反射式の光学系を採用した望遠レンズのことをレフレックスレンズ(またはミラーレンズ)と呼ぶ。実はzuiko 500mm/f8はオリンパス史上唯一のレフレックスレンズなのだ!

◆良いところ
レフレックスレンズは独特のリング状のボケが写ることが特徴だが、焦点距離が長いものの、レンズ自体は短いので携帯しやすいのが最大の特徴だ。そんな小さいといわれる各メーカの500mm/F8レフレックス群の中でもひときわ携帯しやすいのがOMのzuiko 500mm/f8だろう。

通常レフレックスレンズはその筒の太さからフィルターはリア側につけるようになっている。ところがzuiko 500mm/f8ではフロント側につけるのだ。(72mmねじ込み式)それぐらいコンパクトにまとまっているということなのだ。

また、レフレックスの特徴はミラーで反射するので収差が極めて少なくなることだ。コンパクトで綺麗で超望遠。いいじゃないか!

◆悪いところ
80年代の私が学生の頃は、レフレックスといえばボケがリング状になるので「よくない」とされた。ところが最近の雑誌などをみると「リング状のボケが美しい」とある。

レフレックスの最大の特徴であるリング状のボケは、時にして良くも悪くも評価されてしまう。つまりはどう表現に利用するかが大切ということだな。

また、レフレックスなら皆そうだが、構造上絞りが無く常にF8。この暗さで深度が極端に浅いので、慣れるまではピント合わせがたいへんだ。

あとレフレックスレンズは保管方法に十分に注意した方がいい。湿度や温度によりミラーはすぐに傷んでしまう。ミラーが痛んだら修理しても治りはしない。「レフレックスレンズは生ものだ」という人がいるが、大切にしないとすぐに腐ってしまう。

◆エピソード
高校生のとき、カメラの師匠で親友だったY君が、自慢げにニコンのレフレックスを持ってきた。その彼に、焦点距離の長さの割に小さく短い筐体やリング状のボケの特徴などを教わった。望遠憧れの世代としては羨ましくて仕方がなかった。

そんな経験からか、いつの間にか自宅にはレフレックスレンズががゴロゴロしている。
・SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 1000mm F13.5
・SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 600mm F8
・旧ソ連 MC RUBINAR 500mm F5.6
・TAMRON SP 500mm F8
・TAMRON SP 350mm F5.6
・HANIMEX MIRROR LENS 300mm F5.6
・MINOLTA RF ROKKOR 250mm F5.6
と、
さらにZUIKO 500mm F8を含めると計8本も持っていた。

キャノンやニコンのレフレックスも興味があったが、やはりコンパクトさと性能のバランスはzuiko 500mm/f8のもので、いくらレフレックスコレクターちっくの私でも購入には至らなかったのだ。


<諸元>

ZUIKO REFLEX 500mm F8

コーティング MC
画角  5°
レンズ構成 2群5枚
絞り・形式/範囲  F8固定
最短撮影距離  4m
最近接撮影範囲  28x19cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  97mm/81mm
質量  590g
フード  組込み式
フィルター φ72mm ねじ込み
発売時の価格  ¥107,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO REFLEX 500mm F8  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3

あこがれの望遠らしい風貌で望遠撮影を楽しむ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3/ズイコー 望遠 400mm F6.3

ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3
  • 画 質  ★★☆
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★☆
ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3

◆愛称 「ばずーかー」
実は高校生のころ動物カメラマンの吉野信さんがOM2にモータドライブを付けてそのの下にピストル型のシャッターレリーズ付きのコントロールグリップを付けて構えているのがすごくかっこよかった。(現在ではそのスタイルは全く見ることはないが・・・。)

それに憧れて、長い望遠の三脚座のところにシャッター付きのグリップを付けて、撮影するスタイルをしたらもっとかっこいいだろうなぁと思っていたのだ。

そこでzuiko 300mm/f4.5を入手したとき、JJC製のピストル型ハンドルグリップを買って付けてみたのだが、300とはいえOMズイコーは思ったより短いため「メガホン」みたいになってしまった。

そこでzuiko 400mm/f6.3で試してみたらなかなかいい感じになった。まさにバズーカー砲だ。ただ、高校生のころの憧れのスタイルが叶ったものの、人が多いところでは恥ずかしくてできないことに気づくのであった・・・。

◆良いところ
zuiko 400mm/f6.3はとても所有欲を満たしてくれる望遠レンズだ。望遠らしい活動ができる。あまり使いこなしていないので描写についてはこれからの調査だ。

1300gとまぁまぁ(400としては)軽く取り扱いもよくフットワークがいいので野鳥とるのには最適だ。

◆悪いところ
あまり評判はよくない。zuiko 300mm/f4.5が評判がいいためその比較からだろう。ネットでは400mmあたりの評価は非常に少ない。やはり皆使いあぐねる焦点距離なのだろう。所有欲を満たすだけで使うことはないレンズだ。

◆エピソード
上記の愛称の説明でも書いたが、このzuiko 400mm/f6.3はそもそもピストル型ハンドルグリップを付けて遊んでみたいという思いだけで買ってしまった。ピストル型グリップつけて遊ぶのにはzuiko 300mm/f4.5では物足りなかったのだ。

zuiko 400mm/f6.3の情報はあまりないのは知っていた。それに300mmF4.5と500mmF8レフレックスがあるので、zuiko 400mm/f6.3の必要性はあまりなかった。だがピストル型グリップを付けるととてもかっこいい。


<諸元>

ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3

コーティング MC
画角  6°
レンズ構成 5群5枚
絞り・形式/範囲  自動/6.3-32
最短撮影距離  5m
最近接撮影範囲  36x24cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  255mm/80mm
質量  1300g
フード  組込み式
フィルター φ72mm ねじ込み
発売時の価格  ¥252,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  ZUIKO AUTO-T 400mm F6.3  良好 保存&常用

 

<作例>