マクロも対応、万能の高倍率標準ズーム
OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5/ズイコー 標準ズーム 35-105mm F3.5-4.5
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◆愛称 「しんいり」
zuiko 35-105mm F3.5-4.5は、高校生の時の写真部の後輩が持っていたレンズだ。なので「新入り」
このレンズもOM20の発売とほぼ同時に登場した。なので古参からみれば新入りだ。
◆良いところ
何といっても広角~中望遠と、もっとも使用頻度の高い焦点距離をカバーしさらにマクロまでできるその「万能性能」だろう。
画角にあった距離でのピント合わせも自由自在だ。旅行にもってこいだ。実は愛称についても「ばんのうくん」とかにしようかと考えていたぐらいだ。
画質は甘く柔らかい。なんとなく古いエルマーやズミクロンのような滑らかさだ。ここは経年劣化もあと思うし、好みも分かれるだろう。ズイコーの特徴であるカリカリの色乗りコッテリした硬めが好みの人には向かないかもしれない。
コントラストは確かに弱いが、画風次第だろう。モノクロにはいい感じに撮れると思う。
最短撮影距離は1.5mだが、Close Focus機構で0.31mまで接近できる。Close Focusとはマクロのことだ。ただエクステンションチューブが内蔵されていると同等の機能と考えればよい。そのままレンズそのものが前に繰り出してより近くまで寄ることができるのだ。近距離収差補正機構があるわけではないので収差の影響は多分にでそうだが、便利な機能だ。
色合いは明らかに他のズイコーとは違う風味。実はこのレンズ、TokinaのOEMなのだ。その証拠にzuiko 35-105mm F3.5-4.5と全く同じスペックのレンズがTokinaから同じ時期に出ている。見た目もそっくりだ。
「S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5」のように「S」がついているのがOEMとのことだったが、zuiko 35-105mm F3.5-4.5については、SがついていなくてもOEMなのだ。ZUIKOはよほどOEMとはいいたくなかったのだろうか。(わたしはごく最近まで純正と思い込んでいたが。)
80年代中盤ごろからにわかにズームレンズがブームになった。OLYMPUSもその時流に乗るためズームレンズの発売を目指すのだが、いかせんレンズ専業メーカに後れをとっていた。開発コストを抑えながら素早く販売したい・・その解決方法がOEMによる提供をうけることだ。自社開発ではどうしても後れを取ってしまうからだ。
当時のターゲットユーザは若者にシフトしていた。若者はお金がないから何本もレンズが揃えられない。多少の品質よりは、安価で広角から望遠までカバーしマクロ機能までついた、万能性の高いレンズのニーズが強くあった。こうした背景からこのレンズはトキナーの提供により生まれたのだろう。
よく見てみるとzuiko 35-105mm F3.5-4.5だけは他のズイコーレンズとは明らかに見た目のデザインがかなり違う。絞りの位置もマウント側だし、マクロ機能をClose Focusと表記するのもこのレンズだけだ。
◆悪いところ
このレンズは前期型と後期型があり、大きさと刻印表記が若干違う。
〇前期型
・S / N <500,000:重さ460g、全長106mm、最大径86mm、最小系42mm、赤外線集束ドット(赤色)がある
〇後期型
・S / N> 50,000:重さ470g、全長107mm、最大径87mm、最小系38mm、赤外線集光ドットなし
このレンズの描写性能はあまりよく言われていないのが現実なのだが、おそらく前期型の性能評価がいろいろいわれているのだろうと思う。
やはり後期の方が光学性能は優れているようだ。後期型であればそこそこの評価できる性能のようだ。もし中古で探す場合は、後期型を強くお勧めする。ただ出荷量が少なかったようで、後期型は中古市場では見つけるのが大変だ。
◆エピソード
80年代の初頭、高一の時にアルバイトで貯めた貯金を全額はたいて親にも泣きついて得た資金で何とか買ったのがOM10とs zuiko 35-70mmF3.5-4.5だった。カメラ屋の主人がずいぶん薦めてくれて値引きも大きかったのだ。するとその年の秋にはOM20が発表された。ははーんそういうことかと。当時の高校生としては大人の巧みな商売の一端を知ることのできた瞬間だ。
その後学校に写真部を作って、2年生になって後輩ができた。その後輩がOM20を持ってたのだがそのOM20のキットとしてついていたのがzuiko 35-105mm F3.5-4.5だった。
先輩である私のOM10+zuiko 35-70mmF3.5-4.5と後輩のOM20+zuiko 35-105mm F3.5-4.5、明らかに後輩が上位グレードにあたる。先輩としては苦労してなけなしのこずかいと貯金をはたいてなんとか手に入れたのだったが、そんお後輩はあっさり親に買ってもらったものだった。
なんとも鼻につく生意気な後輩で、機材に対してはなんとも悔しい思いがあったが、次第にその写真の作品の腕前で優位に立つことができた。先輩としての意地というやつかな。
現在でも機材の良し悪しやグレードの高い低いで自尊心がくすぐられるものだが、それを写真の出来栄えに変えて精進したいものだ。
<諸元>
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5
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<所有レンズのデータ>
所有No | 名称 | コード | リア記号 | 製造年月 | 状態 | 用途 |
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Z0 | ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5 | 良好 | 保存&常用 |