ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8

軽量コンパクトで癖のない優秀な写り。最高の餅撒きレンズ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S  50mm F1.8 ズイコー 標準 50mm f1.8

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8

純正ガウスタイプ

◆愛称 「おかざり」
このzuiko 50mm/f1.8といえば、かつてボディとセットでしか販売がされておらず、”付録”として扱われることが多かったレンズだ。量産されていたはずなのでコストは相当おさえられていたのだろう。そのうえ、安価にOMボディを購入しようとすれば必ずついてくる。それだけに利用者も多かったはずだ。メーカの「顔」として開発に力が入ったに違いない。実は意外にも相当優秀なレンズなのだ。

ボディの付録で大衆向けレンズということで「おかざり」と名付けたが、この性能は飾りではなさそうで。わたしのお気に入りの一つでもある。

◆良いところ
小型軽量で映りがいい。標準の劣化版という平凡なイメージを払拭してしまう。クセのないしっかりとした写りをするレンズだ。高い解像力と適度なコントラストで発色もよい。ボケはかなり良質で、絞り開放から比較的良好な描写をする。絞るとかなりシャープになるがキレキレすぎにはならない。そのほど良さがいいと思う。

さっきも書いたが、zuiko 50mm/f1.8はOMズイコーの中では最も多く出荷されたレンズではないかと思う。そのためか、OLYMPUSとしても力を入れて作ったに違いない。それぐらい完成度の高いレンズだ。

あと、後期のバージョンは機構がかなり単純な作りになっているので、分解修理が実に簡単だ。レンズ分解清掃を自分でやろうとする方には入門機としていいと思う。

◆悪いところ
中古市場の玉数は相当なもので、数千円出せば確実にそこそこ程度の良い玉が手に入いる。まあ、悪いところしては希少価値のなさか。もしくは安物としての扱いを受けることか。まあそんな中で特に良質な玉を探すのも楽しいんだけどね。

◆エピソード
世にいう「沼」という病気にもいろいろあるが、私がはまった沼はなんと「zuiko 50mm/f1.8沼」という難病だ。

このレンズには何か不思議な魅力がある。しかも安い。なので中古市場でついつい買い求めて気づけば30個以上も集めてしまった。その後いいものだけをより分けていらないのは処分したが、それでもいくつかは持ったままだ。

ちなみにzuiko 50mm/f1.88には以下の種類がある。私は現在これを全て保有している。

・M-SYSTEM F.ZUIKO 50mm/f1.8
※※初代Mシステム用 シングルコート・銀枠(レンズ先端の飾りが銀色)

・OM-SYSTEM F.ZUIKO 50mm/f1.8
※※シングルコート・銀枠(レンズ先端の飾りが銀色)

・OM-SYSTEM F.ZUIKO 50mm/f1.8
※※シングルコート・黒枠(レンズ先端の飾りが黒色)

・OM-SYSTEM ZUIKO MC 50mm/f1.8
※※マルチコート・黒枠(レンズ先端の飾りが黒色)

・OM-SYSTEM ZUIKO 50mm/f1.8
※※MC表記なし(マルチコート)・黒枠(レンズ先端の飾りが黒色)
※※※鏡胴がプラスチックになりレンズ構成も見直されている


<諸元>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8

コーティング MC
画角  47°
レンズ構成  5群6枚
(4群6枚)
絞り・形式/範囲 自動/ 1.8-16
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  24x16cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  31mm [32mm]/59mm [61mm]
質量  170g [165g]
フード  φ51mmかぶせ
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥24,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z023 M-SYSTEM F.ZUIKO AUTO-S 50mmF1.8(銀縁)  良好 コレクション
Z024 F.ZUIKO AUTO-S 50mmF1.8(銀縁) 良好 コレクション
Z025 F.ZUIKO AUTO-S 50mmF1.8(黒縁)  良好  コレクション
Z026 ZUIKO MC AUTO-S 50mmF1.8(黒縁)  良好  コレクション
Z027 ZUIKO AUTO-S 50mmF1.8(黒縁)  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

柔らかくも硬くともあらゆる撮影シーンに対応する万能標準

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4 ズイコー 標準 50mm F1.4

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

純正ガウスタイプ

◆愛称 「ひょーじゅん」
OM全盛期、OMひと桁機(OM-2,OM-4・・)の標準レンズとして一緒に販売されていたレンズがzuiko 50mm/f1.4だ。なので愛称は「ひょーじゅん」だ。

ちなみにOMふた桁機(OM10,OM20・・)の標準レンズはzuiko 50mm/f1.8。つまりzuiko 50mm/f1.4はフラッグシップ用としての誇り高き標準なのだ。

◆良いところ
開放は甘く柔らかい描写で絞るほどにコントラストが上がっていき絞ればF5.6位で性能をフルに発揮するという、二つの顔をもつ面白い性質をもった特徴的な標準レンズだ。

絞り開放モード(と呼ぶことにする)では描写が柔らかい。解像しながらも軟らかいものがまとわりつく感じ。絞りモード(と呼ぶことにする)にするとシャープに変わる。F2.8くらいからかっちりしてくるように思われる。シャープネスは高く色再現もしっかりしている。

描写傾向はややコントラストが高めだ。標準的な7枚構成の変形ガウス型を採用している。好みもあるが、OMらしくコンパクトにまとまったレンズといえるだろう。OMボディに装着した時の格好もいい。

~赤城耕一氏「使うオリンパスOM」より~
「設計当時のほとんどの国産メーカーの標準レンズがそうであったように、このレンズも球面収差は補正過剰気味だ。開放時はハレっぽい感じであり、特有の柔らかさを持つ。それでもピントの合った部分では細かなところまで、よく解像している。わずかに絞っただけでも、急激にコントラストが増す。絞りによって性格が変わるタイプのレンズである。F5.6あたりの絞り値では、実に高品位な描写になる。」

◆悪いところ
zuiko 50mm/f1.4といえば標準レンズというぐらいだからカメラと一緒に販売。なので(当時は)最も出荷量が多いレンズなのだ。なので標準レンズといえばカメラ会社の顔だ。

上記でも述べたが、そんな標準レンズの中でも当時の「50mm f1.4」といえばフラッグシップ用。なので各社気合いをいれて開発を競ってきた。もちろんzuiko 50mm/f1.4は素晴らしいレンズだ。

絞り開放時とF5.6位まで絞った時まで全く別のレンズのような特徴を持つ。そんな特徴的な性格を標準レンズにしたのは、たまたまかもしれないが、もしかすると意図があったのかもしれない。

ホワっとしたポートレート撮影にもカリカリな風景撮影にもあらゆる撮影スタイルに対応させたのです!となれば十分な長所となるのだが。残念なことに絞り開放モード(と呼ぶことにする)の描写は人によっては評価がわかれてしまうものだ。

絞り開放モードのホワっとした柔らかい描写が、「コントラストが低い」「色が乗らない」「フレアが出やすく鮮鋭度がぐっと落ちる」という悪評になっているのだ。(絞りモードにすれば解決するのだが。)まあそれこそ好みなんだけどね。

よく比較されるのがzuiko 50mm/f1.8との差だ。zuiko 50mm/f1.8はこれまた出来の良いレンズで、性能が高くコンパクト。実用上は大差ない。1.4はやや大柄で、重さもあるし、価格も高くなる。ただこれもポートレートとしても使えるよと考えればお得なんだけどね。

絞り開放モードでは肌のシミ・ソバカス・シワをシビアに強調しないから、彼女を美人に撮れるレンズという付加価値もあるのだ!

◆エピソード
OM全盛期の当時、カメラを買えば必ず標準レンズ(50mm)とセット、、というのが当たり前の時代だったが実は自分は標準レンズ付きでカメラを買ったことがない・・。

生まれて最初に買ったOM10はzuiko 35-70mm/f3.5-4.5の組み合わせだった。次に買ったOM-4はzuiko 40mm/f2に一目ぼれしてそっちを標準としてしまった。なので自分の人生で最も多感で伸び盛りの若きカメラ熱中時代にF1.4などという明るいレンズの使用体験をしてこなかったのだ。それに悔いがあるのか今では積極的に標準レンズを楽しんでいる。

立派なメタルフード(50mm/f1.8及び35mm/f2.8と共用)が用意されているが、後年、ラバー(ゴム)製のものに変更された。私は当初、「やっぱメタルがカッコイイ」って思ってた。だが使っていくうちに「やっぱりラバーの方がクッションになって扱いやすい」と思うようになった。

年季を重ねると格好より実用的な方がよく思えてくる。オリンパスもそいういうニーズを大切にしてラバー製のフードに切り替えたのかな?

ところでzuiko 50mm/f1.4には次の5つのタイプがある。(M-SYSTEMも分ければ6タイプ)

●TYPE-1 銀縁モノコート(G.ZUIKO AUTO-S)
M-SYSTEMとOM-SYSTEMがある。

●TYPE-2 黒縁モノコート(G.ZUIKO AUTO-S)
TYPE-2とTYPE-3、4の違いはモノとマルチコート。

●TYPE-3 マルチコート、MC表示あり(ZUIKO MC AUTO-S)
シリアルが70万番台以上で100万番台未満。
TYPE-4、5と比較するとマルチコーティングの色が濃い。
クモリ玉が多いので中古購入時は要注意。

●TYPE-4 マルチコート、MC表示あり(ZUIKO MC AUTO-S)
シリアルが100万番台以上で110万番台未満。
TYPE-3と比較するとマルチコーティングの色がうすい。
クモリ玉があるので中古購入時は要注意。

●TYPE-5 マルチコート、MC表示なし(ZUIKO AUTO-S)
シリアルが110万番台以上。
TYPE-5のみリアガードが角になっています。
TYPE-5のみマウント部がツーピース構造となっている。
TYPE-1~4のリアガードは一枚の板。
TYPE-3と比較するとマルチコーティングの色がうすい。

トリウムレンズは日本では1970年代半ばまで製造されていた。
OMファン様(http://www.asahi-net.or.jp/~RN6H-IMI/)より

<諸元>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

コーティング MC
画角  47°
レンズ構成  6群7レンズ
絞り・形式/範囲  自動/1.4-16
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  24x16cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  36mm [40mm]/60mm
質量  230g
フード  φ51mmかぶせ
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  なし(ボディ付属のため)

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z019 M-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-W 50mm F1.4(銀縁)  良好 保存&常用
Z020 G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4(銀縁) 良好 コレクション
Z021 ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4(黒縁) 良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2

随一の大口径。画面周辺での鮮鋭度もすぐれた標準レンズの傑作

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2 ズイコー 標準 50mm f1.2

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★★★
  • 総合評価 ★★★★☆

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2

純正ガウスタイプ

◆愛称 「たまたま」
大口径にも関わらずフィルター径が49mmで、レンズ両端に比べピントリング部のふくらみが強調され、他のズイコーとはちょっと違ったデザインだ。まるでボールのような形状なので当初は「ボール君」と名付けていた。

だがそのzuiko 50mm/f1.2の実力は「玉の中の玉」といっていいほど。ボールぽい見かけと「銘玉」といえる実力を兼ねてるところから、ちょっとした遊び心で「たまたま」と名付けた。

◆良いところ
このzuiko 50mm/f1.2は、ズイコー随一の大口径ながら設計に無理がなく、画面周辺での鮮鋭度にもすぐれた標準レンズの傑作だ。この明るさに美しいボケ具合。一度使うとファインダーを覗くのが癖になってしまう。

絞り開放ではかなり甘い描写となりポートレート向きの柔らかい描写と言える。だがf2.8~f4まで絞れば十分な解像度とシャープネスを伴った非常に高い描写力を発揮する。

豊かな階調とクリアで深みある色再現性が素晴らしい。コントラストは全ての絞りでしっかりしている。最近接撮影距離も0.45mで日常マクロも使える。

~赤城耕一氏「使うオリンパスOM」より~
「描写性能はかなり高い。開放時は特別にシャープなわけではないが、コントラストが良好なため、実用絞りとして使うことができる。‥ハロは完全に消えてるわけではないが、ハイライト部分の滲みもわずかで、品の良い個性的な描写となる。」

◆悪いところ
開放ではハイライト部に少しもやっとしたものやら強いハロのようなものやらが出てきて柔らかくなる。それを悪いところとするかどうかは使い方次第だが、f2程度絞ることでハロも解消され全面で良像となる。

よくカミソリのピントと言われるが、そのとおりで被写体深度は紙のように薄い。開放では動く被写体を合焦させるのは相当な技術力が必要になる。フィルムのオールドOMカメラではファインダーが像が柔らかいので特にピントが分かりにくい。

これだけ明るいレンズでピントが合わせにくくなるというのは皮肉なものだ。まあ全ての大口径レンズの特徴でもあるので欠点とも言えないが、他に悪いところが見当たらないので書いてみた。

やはりF1.2の実力は相当のもので、ポートレートで目にピントを合せて、開放だと目以外はすべてピンボケで、まるでマクロ撮影をしているよう。それはそれで撮影が面白くなるのだが、撮りたい絵によっては長所の大口径が欠点になる場合もあるものだ。

~赤城耕一氏「使うオリンパスOM」より~
「明るいファインダーを楽しみ、あえてF2.8以上に絞る。そういう贅沢が、むしろ実用的。」

◆エピソード
zuiko 55mm/f1.2の後継レンズである。大口径化による諸収差を抑えるためには焦点距離が長い方が有利ということから、かつてはF1.2クラスのレンズの標準レンズといえば焦点距離は55mmが一般的だった。

ところがペンタックスが50mm/f1.2を発売。それをきっかけに、各社から50mm/f1.2が発売された。オリンパスもこの流れでzuiko 55mm/f1.2の後継として開発したものだろう。

各社こうした大口径のレンズ設計にはそうとう苦労をしているようで、マウントの大きさやフランジバックの距離などの諸制限で悩まされている。だがオリンパスはすんなりzuiko 50mm/f1.2を出した(ように感じた)。しかもこのスペックで49mm枠のフィルターだ。設計に余裕すら感じられるのだ。

開発者の米谷美久氏は「OMマウントは、超望遠レンズやf1.2クラスのレンズの使用を想定して設計された」と語っている。OMはマウントの設計当初からF1.2の使用を想定して作られているのだ。だから無理のない形状のレンズの設計が可能だったのだろう。

私は中古で購入しのだが随分安かった。相場の半額ぐらいだったのだ。なんでだろうと思ったらピントのゴムリングがひどく痛んでいたのだ。聞くと工業機械用のなにかの装置にくっ付けて使われていたそうで装置と固定させるためのボルトか何かでゴムリングが傷んでしまった個体のようだ。光学系には全く問題がなかった。

カメラ撮影以外の工業機械にこのzuiko 50mm/f1.2が採用され役立っていたと聞くとこのレンズの評価の高さが証明されているようでうれしい気がした。

その後、外観も美しいものを購入しなおしたが、もっぱらゴムリングが傷んでいる方が愛着が沸いてきてて普段使いに役立ってる。


<諸元>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2

コーティング MC
画角  47°
レンズ構成  6群7枚
絞り・形式/範囲  自動/1.2-16
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  24x16cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  43mm/65mm
質量  285g
フード  φ51mmかぶせ
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥80,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z018 ZUIKO AUTO-S 50mm F1.2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-S 40mm F2

希少性高く中古市場高騰・実力派向けのパンケーキ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 40mm F2 ズイコー パンケーキ 40mm F2

ZUIKO AUTO-S 40mm F2
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★★☆
  • 総合評価 ★★★★☆

ZUIKO AUTO-S 40mm F2

新型ガウスタイプ

◆愛称 「ちびすけ」
zuiko 40mm/f2は、OMズイコー唯一のパンケーキだ。「パンケーキ」と名づけてもよかったのだが、それではおもしろくない。

このzuiko 40mm/f2は思い入れのあるレンズで、学生のころから様々なシーンでOM4と共に一緒だった。なので相棒的に呼び捨て感覚なニックネームにしたかった。自然と「チビ!」とか「チビ助!」と呼びたくなるのだ。

◆良いところ
何といってもパンケーキだ。コンパクトなのがもちろん長所だ。最短撮影距離は30cmと焦点距離の割には短めでいい。

F2という明るいうえにコンパクトで、カラーでの発色も良好だ。

OMズイコーの特長は絞り込むとカリカリの硬い描写になるのだがこのレンズはさほど硬くはならず使いやすい。奥行きのある描写を楽しむことができる。(硬いのが好みというOMフアンは多いので意見が分かれそうだけど)

多くのパンケーキでは3群4枚の「テッサータイプ」(という簡単な造り)を採用するのだが、このレンズは6群6枚構成の「ガウスタイプ」という実に贅沢な作りになっている。そのうち4枚は高屈折率低分散ガラスを使用しているという。

あの米谷美久氏が経営者の反対を押し切って開発したというから、あまりに手を込んで作って相当のコストがかかっただろう。その割に定価2万2千円というリーズナブルな価格だった。

ところがこのzuiko 40mm/f2は途中で生産を終了してしまった。当時評価されず人気がなかったとかいわれているが、おそらく収支があわなかったのではないか。一説によると3,000本しか製造されなかったとか。

(※この3,000本という情報は未確認です。このサイトではあくまで他のサイトや古い雑誌などから入手したデータを情報提供しているにすぎません。このサイトはトップにも記載の通り完全に「個人の趣味」のものです。もし間違いなどありましたらぜひコメント欄からお教えください。希少価値をあおり市場価格を操作するような悪質な目的で書いておりません。)

その後ご存じのように大変な人気で、現在の中古市場でも当時価格の3~5倍という異常な高値相場が起きている。

◆悪いところ
前述のとおり大変な人気なのだが、実のところそこまの性能ではないのではないかと思う。シャープネスは十分あるが、開放では少しもやっとする。ひと絞りF2.8以上に絞れば全く問題ないだろう。

人気の元はレンズ性能ではなくやはりそのコンパクトさにあるのだ。デザインは薄型のパンケーキのために随所に工夫がこらされており、絞りリングがレンズ先端のフィルター取りつけ枠と兼用になっている。なので使い込んでいくと絞りリング(フィルター取りつけ枠)のスレキズは半端じゃなくなる。

フィルターを装着すると絞り用のギザギザがフィルターでさえぎられるのでつけたフィルターによっては滑って絞りを回せずらくなる。またフードをつけると、フードそのものを回せば絞りを変えられるという変な現象が起きるのだけど、角型フードや花形フードは上記の理由でつけられない。ほんとは角型フードがカッコイイのだけど・・・。

フードはzuiko 100mm/f2.8と兼用のラバーフードが用意されているが、これを付けるのはいささか難がある。なにせ折角のパンケーキのコンパクトさをフードで台無しにしてしまうのだ。私は程よい大きさのフードをジャンクで見つけて愛用している。

◆エピソード
私がカメラを始めた(30年以上の前の)高校生のころ、一番最初に手にしたレンズがzuiko 35-70mm/f3.5-4.5ズームだった。

標準の単焦点がほしくなり、バイトでためたナケナシのお金を握りしめてカメラ店に行ったのだ。本当はzuiko 50mm/f1.8を買うつもりだったのだがzuiko 40mm/f2をみて一目ぼれして買ってしまった。

珍しく新品で買ったのだけど安くしてもらえたのだ。これまでつかってた35-70mmズームは便利だったが折角のOMボディにも拘わらずレンズがコンパクトじゃないのが不満だった。それに比較して40mmのパンケーキという小ささは私にとってはとても刺激的だったのだ。

そうして手にした自分のお気に入りレンズが今ではプレミアがついているというのは嬉しいことだがちょっと不思議な感覚だ。

当時のオリンパスの謳い文句は、「50mmを選ぶか35mmを選ぶかの間をとった新しい提案」とのこと。米谷さんのキャッチじゃないかな。いまよく考えてみたら35mmの方に近いのだ。でももっぱら私はこの40mmを「標準」としてずっと相棒にしてきた。

時には大口径のずっしり重たいレンズで写真の美しさを堪能したいが、普段はコンパクト装備にこだわりたいものだなどと改めて感じているところだ。

<諸元>

ZUIKO AUTO-S 40mm F2

コーティング MC
画角  56°
レンズ構成  6群6枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  18x12cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  25mm/60mm
質量  140g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  調査中

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z017  ZUIKO AUTO-S 40mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>