S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5

軽量コンパクトで癖のない優秀な写り。最高の餅撒きズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5/ズイコー 標準ズーム 35-70mm F3.5-4.5
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★☆
  • 総合評価 ★★★☆

◆愛称 「ぷられんず」
S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表している。コシナのOEM製だ。小さく軽く性能もよい。銅鏡など主要部品の多くがプラスチックでできているが当時はプラによる銅鏡レンズはまだ珍しい部類だった。レンズまでプラスチックという噂があったが筐体のみプラでレンズはガラスだ。高校生のころ仲間に「プラレンズ」と言われてちょっとムカッとした記憶がある。

◆良いところ
重量190g。とにかく軽い。プラスチック製で安っぽいが、写りは期待以上だ。

コントラストが高く発色もクリアでシャープな写りを見せてくれる。

OM ZUIKOは35-70領域をカバーするズームが6本もある。その中では最も安価でコンパクトだが、最もシャープでかつ色乗りも良いのではないかと思う。

小型軽量で寄れるため旅行や登山等で活躍してくれる。クロ-スフォーカスと書かれた領域では30cm近くまで寄ることが出来、この当時のズームとしてはがんばっていると思う。

F値が変動するが、内部機構の工夫により、F4.5以上に絞ってあれば絞り環の表示どおりの絞り値で撮影できる。

銅鏡や絞りリングがプラスティックになっているところのだが、デザインで工夫されているのか全くチープな印象を与えるない。持って見て「あっ、かる~」って思っちゃう。

◆悪いところ
やむを得ないが、F値は暗く開放は変動する。

広角側では歪曲収差が少々目立つように思う。格子状の物体や建物はなるべく避けた方がいいだろう。

広角側の35-50mm前後ではシャープで非常によく写るのだが、テレ端では若干色が地味になるなど描写が落ちる傾向にあると感じた。

◆エピソード
80年代の初頭、私が生まれて初めて買ったカメラOM10のキットで付いてきたのがこのレンズだ。愛称の説明でも書いた通り、軽量のため銅鏡などの本体にはプラスチックを多分に使っている。今となっては小さく軽く性能も良く評判のいいレンズでお気に入りの一つなのだが、高校生のころこのレンズを手にしたての私はそれが安っぽくて不満だった。

所詮、付録でついてきた安物レンズというイメージだ。ズームはいいのだが、F4.5という暗さも不満だったし、コシナのOEM製で純正ではないというのも青二才の当時の私には劣等感の材料になっていたのだ。やはり、冷たくずっしりとした重みのある明るい単焦点がいいなとあこがれていたものだが、面白いもので月日がたち、現在では思い出とともに大切な宝のレンズになっているのだ。

OM開発責任者だったかの米谷美久氏はOMシステムの開発にあたって、「“大きい”、“重い”、“音が大きい”という三大悪を排除するのだ」という思想によりOMシステムを設計したという。このレンズは最もその思想に近いレンズだろう。今ではごもっともなことなのだが、当時の高校生(私)は、より大きく・よりずっしり重く・風格のあるレンズに憧れていたという、なんとも皮肉な話だ。

<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5

コーティング MC
画角  63-34°
レンズ構成 8群9枚
絞り・形式/範囲  自動/3.5-22
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  21.7×14.5cm(CF, 70mm)
ピント調節方式 回転ヘリコイド
全長/最大径  51mm/62mm
質量  190g
フード φ51mmかぶせ
フィルター φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥34,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

<作例>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

コシナOEM提供の軽量コンパクトで描写性能高い広角ズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4/ズイコー 広角ズーム 28-48mm F4

  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★☆
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★☆
S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

◆愛称 「こうかくずーむ」
ズームレンズのレビューはムツカシイ。なぜならさほど使わないからだ。はやりオールドレンズを楽しむのは性能の良い単焦点が中心となる。なのでズームレンズの所有はもっぱらコレクションとなってしまっている。愛称も実はあまり深く考えず単純に「広角ズーム」なのである。

◆良いところ
小型にまとまったレンズで、F値が暗いことを除けば使い勝手は良い。

色はちゃんと出ており、解像もまずまずシャープだ。

フィルタ径は49mmだが、フード取り付け用に55mmネジが外側にきってある。フードを付けたまま、フィルターやレンズキャップの着脱が可能だ。ZUIKOでは珍しい構造だ。

◆悪いところ
広角にしては最短近接撮影距離0.65mと、ちと遠い。小型のために仕方なかったのか。

28-48mmとは中途半端なスペックだ。正直「広角ズーム」と呼ぶのは違和感があるかもしれないが、このレンズが出た1981-82年頃当時は立派な「広角ズーム」だったのだ。

◆エピソード
S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表しているらしい。つまりOEMだ。

これは他の製品なら珍しいことだ。なぜなら普通はOEM製だとしてもわからないようにするものであって、堂々と「これはうちでは作ってないよ。よその製品だよ~」とメーカが表記するなんて。どうもこのころのオリンパスはズームには自信がなかったのか、35-70mmでも2本「S」が付いているものがある。これはコシナ製とのことで、小さく軽く性能もよく現在でも評判がいい。オリンパス純正でないにも関わらずだ。「S」が付けなきゃオリンパスの評判になっただろうに。オリンパスとしてはリスクをとったのだろうか。もし評判が悪くなった場合に「うちのじゃないもーん」と逃げ切れるとおもったか?でも結果としては高評価になったのだ。

私がこのレンズを購入したのも「S」が付いている(=コシナ製=評判がいい)から試してみたくなったのだ。もともとS ZUIKO 35-70mm/f3.5-4.5を持っているのだが、それと形状が似ていて、性能もいいのだろうとわくわくした。結果はもちろん期待通りであった。

それまではカメラメーカの純正レンズが優秀でレンズメーカのレンズは二流三流という思い込みがあったが、必ずしもそうではないことを教えてくれたレンズなのだ。こうして私はコシナも大好きになった。

<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4

コーティング MC
画角  75-49°
レンズ構成 8群8枚
絞り・形式/範囲  自動/4-22
最短撮影距離  0.65m
最近接撮影範囲  74x49cm(28mm) 46x31cm(48mm)
ピント調節方式 回転ヘリコイド
全長/最大径  54mm/65mm
質量  300g
フード φ55mmねじ込み
フィルター φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥40,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  S ZUIKO AUTO-ZOOM 28-48mm F4  良好 保存&常用

<作例>