ZUIKO AUTO-W 28mm F2

広角の領域でも望遠のような美しいボケで柔らかい画風に

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 28mm F2 ズイコー 広角 28mm f2
 ZUIKO AUTO-W 28mm F2
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★☆

ZUIKO AUTO-W 28mm F2

新しいレトロフォーカスタイプ

◆愛称 「にっぱちえふに」
zuiko 28mm/f2なので、そのまま「にっぱちえふに」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。

オリンパスのOMズイコーのシリーズでは”廉価版”と”大口径”の二種類が選べれるようになっている。私は基本、”大口径版”に対しては敬意を払ってニックネームをつけようとするのだが、大口径であるはずのこのレンズにはまだそれらしいニックネームが用意できてない。

高価で上流階級向けのレストランの食事より、庶民のランチの方がかなり旨かったりすることがあるが、そういう例えでいい愛称がないか現在思案中だ。

◆良いところ
このzuiko 28mm/f2は、開放がf2と明るいにもかかわらず、フィルター径はφ49㎜でコンパクトに作られている。明るさは明らかに大口径の部類なのに径が小さいので”大口径”ってことでいいのか悩ましいところだ。

開放がf2だけに”ボケ”がなめらかで美しい。f2の開放時では、コントラストは弱めで、かなりソフトな描写になる。従って、28mmという広角レンズを使って柔らかい画を作りたい場合や、f2開放による被写界深度の浅さを使って望遠のようなボケのある画を狙いたい場合は最良といえる。またこのように開放では柔らかく、絞れば硬くなる。そういう変化のあるのもOMズイコーの特徴の一つだろう。

コントラスト、シャープさの高さについてはzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5には及びばないようだが、絞りをf4以上に絞り込めば改善され高くなる。シャドウ部の再現性はzuiko 28㎜/f2.8・zuiko 28mm/f3.5より良好のようだ。
他の広角の大口径レンズに採用されている近距離収差補正機構がzuiko 28mm/f2にも採用されており、近接撮影でも性能劣化が目たない。

広角の領域でボケを使った画風を狙うための28mm。こういう「他が作らないモノを作る」のがオリンパスの流儀だ。開発者である米谷美久氏の信念でもあった。こうした特徴のあるレンズがたくさんみられるのもOMズイコーの特徴の一つだ。

◆悪いところ
コントラストやシャープネスはそれ程高くなく、絞り開放付近では柔らかめの描写となり、周辺光量の低下もやや目立つ。高価な広角レンズの割にはどうなの?という気がするが、これは好みにもよるだろう。

確かに”廉価版”であるはずのzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5の方がzuiko 28mm/f2よりも評価が高い。だが、広角レンズを使って柔らかくしたい場合もあるだろう。f2開放による被写界深度の浅さを使って望遠のようなボケを楽しみたい場合もあるだろう。逆に言えば短所ともいえる面を長所に変えられる場合もある。zuiko 28mm/f2とはそんな使い方ができるレンズなのだ。ただそういうニーズのある場面に遭遇する機会が少ないのが難点なんだよなぁ。

◆エピソード
zuiko 21mm/f2をゲットし、zuiko 24mm/f2をゲット。そうなると広角 f2軍団を作りたくなるものである。中古でもちょい高いが、無理をしてこのzuiko 28mm/f2を買ってしまった。ところが、”廉価版”であるはずのzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5の方が評価が高いという。なんじゃそれーー。

こういうことがあるから本当にOM ズイコーって面白いのだ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 28mm F2

コーティング MC
画角  75°
レンズ構成  8群9枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  27x18cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  43mm/60mm
質量  250g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥100,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z009 ZUIKO AUTO-W 28mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2

ズイコー広角の銘玉。色、解像ともに最高の大口径の超広角

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 24mm F2 ズイコー 超広角 24mm F2
ZUIKO AUTO-W 24mm F2
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★★★
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-W 24mm F2

◆愛称 「えるまー」
zuiko 21mm/f2を「でぃすたごん」を名付けた。それならば同じく銘玉と呼ばれるzuiko 24mm/f2にもそれ相当の称号を与えないわけにはいかんだろう。ということでかの「えるまー」と名付けたのだが、友達が聞いて「はぁ?」と。いかんいかん。わかる人にしか言わないでおこう。

◆良いところ
OMズイコーの広角の中では、最も性能が優れているといえる銘玉中の銘玉だ。コンパクトさは多少犠牲になっているものの、前景から背景まで、透明感のある描写をしてくれる。開放でもシャープでしゃっきりしたメリハリのある画が撮れる。

OMズイコーらしく適度なコントラスト、解像度ともに申し分なく、発色も自然であり豊富な周辺光量を持っている。四隅の光量不足は全く判別できないレベルだ。近距離収差補正機構が採用されており、近接撮影でも性能劣化が目たない。

またf2という非常に明るい最高の大口径広角だ。博物館など限られた光量の屋内撮影に威力を発揮する。

zuiko 24mm/f2は超広角と広角の境目くらいで(私としては)使いやすい広さで、広大な風景や建物内などいろいろ活躍してくれている。歪みが少ないので、建物とかを撮ってもきれいだ。

◆悪いところ
見た目はzuiko 24mm/f2とzuiko 21mm/f2とはあまり変わらない。重量275gでありOMボディに装着すると、ややレンズが大き目で重たく感じるかな。ただ、それはOMズイコーとの比較の話であり、他メーカと比較すると普通じゃないかな。普通の大きさで高性能とくれば素晴らしい玉だ。

フィルタがφ49mmじゃなくφ55mmということを気にする人もいるようだが、私は全く関係ないと思う。むしろOMズイコーを全てφ55mmで統一してもよかったんじゃないですか?と思うぐらいだ。

つまり私的には欠点は全くないのだ。

◆エピソード
zuiko 24mm/f2は1980年代前半、OM-4と時を同じくして開発発表された、高性能レンズ群の一つだ。私は高校生の時カタログでこのレンズを見て遥か手の届かない値段を見て「いつかは手にしてやる」と心に誓ったレンズの一つだ。

なかなか程度のいいブツが現れなくて探しあぐねていたところ、オーバーフォール済みのものが高価であるがオークションにでていたので奮発して買った。どうしてもほしかったのだ。

広角ではzuiko 21mm/f2と合わせてお気に入りの一つ。広角では一番よく使っているかな。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2

コーティング MC
画角  84°
レンズ構成  8群10枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.25m
最近接撮影範囲  23x15cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  48mm/60mm
質量  280g
フード  φ55mmねじ込み
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥102,000

 

<所有レンズのデータ>

すべてのノー 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z006 ZUIKO AUTO-W 24mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 21mm F2

21mmでは世界初のf2で、広い表現領域をもつ銘玉の超広角

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 21mm F2 ズイコー 超広角 21mm F2
ZUIKO AUTO-W 21mm F2
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★★☆
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-W 21mm F2

◆愛称 「でぃすたごん」
このzuiko 21mm/f2より広いzuiko 18mm/f3.5は、かのディスタゴンとよく比較され、さすがにそれにはかなわないもののさほど遜色ない性能と評価されたズイコー傑作の銘玉の超広角である。あのzuiko 18mm/f3.5がそれほどのものならそれ以上の性能を持つ(と私は思っている)zuiko 21mm/f2ならばディスタゴン以上の能力があるに違いない!

ということで銘玉にふさわしく「でぃすたごん」と名付けたのだ。

◆良いところ
21mmで世界初のf2であり、シグマが20mm/f1.8を出すまで35mm判の超広角では世界一の明るさを誇った超広角だ。35mmフィルム用レンズにおいて21mmでf2以上のレンズが他にあるだろうか?OM ズイコー 以外で私は聞いたことがない。(あれば教えてほしい)

近年ではシグマ20mm f1.4、ライカSummilux 21mm/f1.4、COSINA Voigtländer ULTRON 21mm F1.8 という素晴らしいスペックのレンズがたくさん登場しています。ただ、私がここでお伝えしたいのは、「オールドレンズ」のカテゴリーで、ZUIKO 21mmF2が活躍したその時代において同様のスペックのレンズががあっただろうか?という問いです。ぜひ情報をお持ちの方はコメント欄にてお聞かせください。

zuiko 21mm/f2は、画期的な小型軽量設計でf2の明るさでこの小ささは貴重な存在だ。銘玉といわれるゆえんだろう。絞り解放から十分な画質が得られ、OM ズイコーらしく絞ればコントラストの高い文句のない描写で、シャープな画像が得られる。

発色も秀逸だ。加えて近距離収差補正機構により、20cmの至近距離でも性能劣化がなく、遠近感をより強調したダイナミックな写真を撮ることができ、このzuiko 21mm/f2はOM ズイコーの中でも超広角の表現領域を拡大した非常に高性能な銘玉レンズといえる。

◆悪いところ
OM ズイコーの特徴でもあるが、無味乾燥、水のような、癖のほとんどないレンズだ。そのまま描写する“味なし”だから、実はこれがまたムツカシイ。値段も高く高性能の割にその能力を「絵になる写真」にするには相当な腕とセンスが必要だ。(基本的に超広角はムツカシイ・・皆同じ構図になってしまう)

引けばzuiko 24mmで代用できるし絞ればzuiko 21㎜/f3.5のレンズも優れているので、持ち出すときに悩んでしまう。「OM ズイコーは暗いレンズの方が良い」と言われているぐらいだし、暗い方が非常にコンパクトなのだ。このような銘玉レンズの前では本当の写真技術が問われるようで素人の私にとっては怖くもある。

でもOMファンなら絶対持っておくべき一本だ。持っているだけで安心感があり、持っているだけで満足感を得られるのだ。心のよりどころといっていいだろう。

◆エピソード
1980年代前半、OM-4と時を同じくしてzuiko 24mmも開発発表された高性能レンズ群の一つだ。私は高校生の時カタログでこのレンズを見て遥か手の届かない値段を見て「いつかは手にしてやるぞ」と心に誓ったモノの一つだ。なかなか程度のいいブツが現れなくて探しあぐねていたところ、オーバーホール済みのものが高価であるがオークションにでていたので奮発して買った。どうしてもほしかったのだ。

こうして30年の時を超えて欲しかった憧れのOM ズイコーレンズが手に入った。何とも感慨深いものだ。広角系ではzuiko 24mm/f2と合わせてお気に入りの一つだ。

 

<諸元>

ZUIKO AUTO-W 21mm F2

コーティング MC
画角  92°
レンズ構成  9群11枚
絞り・形式/範囲  自動2-16
最短撮影距離  0.2m
最近接撮影範囲  21x14cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  43.5mm/60mm
質量  250g
フード  φ55mmねじ込みまたはφ57mmかぶせ
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥132,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z004  ZUIKO AUTO-W 21mm F2  良好  保存&常用

 

<作例>