ZUIKO SHIFT 35mm F2.8

シフトレンズだが通常のレンズより遥かに素晴らしい描写力

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO SHIFT 35mm F2.8 ズイコー シフト 35mm F2.8

ZUIKO SHIFT 35mm F2.8
  • 画 質  ★★★☆
  • 携帯性  ★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★
ZUIKO SHIFT 35mm F2.8

◆愛称 「おこぜ」
見た目、ただものではない形相をしたレンズだ。とても普通の35mmではない。なにかしら怪しく、とんでもないことをしてくれそうな雰囲気をかもちしている。

黒くてごつごつしたところがまさに魚の「おこぜ」を連想させられるのだ。私はこういう一見普通でないアイテムが大好きだ。

◆良いところ
珍しいズイコーのシフトレンズだ。

シフトレンズとは別名「あおり」ともいうが、被写体からの光軸を平行に移動することにより遠近差による歪みを補正する仕組みのことだ。

引きの無い場所での室内や建物などを歪み無く撮る撮影や、意外にも大勢の集合写真にも使える。アイデアによるシフトレンズの活用方法はいろいろありそうだ。

◆悪いところ
なかなか使いこなしが難しいレンズだ。自動絞りが使えないため絞込み測光となるが、プリセット絞りは使える。絞込みを忘れることがあるので注意が必要だ。

このレンズの名称に「AUTO」という表記がないのは、オート絞りじゃないためだ。ただ最近はデジタルのミラーレスでそもそも自動絞りが使えない環境でつかっているので、オート絞りじゃなくても関係ない。

このレンズは最近のデジタル対応のレンズと比べてしまうと解像力は高くない。それに絞り開放では周辺部に少々収差が認められる。F4まで絞れば改善されるが、絞り込むことによる光の回折も目立つので、あまり実用的とは言えないだろう。しかし現在ほとんど市場にはまわっておらず非常に珍しいレンズだ。

◆エピソード
出張で金沢市に行った際の仕事の合間に金沢城を撮りに行った。その道すがら中古カメラ店を見つけたので立ち寄ってみたとろこのシフト zuiko 35mm/f2.8に出会ったのだ。「これは一期一会の出会いだ!」と勝手に解釈してお金がなかったのだが店主と相談して後日送金の約束をして持ち帰ったのだ。

その後オークションでもっと状態のいいものが出品されているのを見つけて、ちょっと自分の一期一会を見直そうかと考えたりしたのだが、いまでは思い出とともにお気に入りの一品になった。

ただあんまり使ってないんだよなぁ。にもかかわらず物欲だけが先回りしすぎている。こうして気づけばOMズイコーのほとんどのレンズを手に入れてしまった・・・。


<諸元>

ZUIKO SHIFT 35mm F2.8

コーティング MC
画角  63° (シフト時最大83°)
レンズ構成  7群8枚
絞り・形式/範囲  手動/2.8-22
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  21x14cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  58mm/68mm
質量  310g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥100,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z016 ZUIKO SHIFT 35mm F2.8  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8

コンパクトでシャープでコントラスト良いZUIKOらしい優秀レンズ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8 ズイコー 広角 35mm f2.8

ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★★★
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8

◆愛称 「しんわのたま」
OMズイコーのファンの間では「暗いレンズの方が優秀だ」とする、ある意味「ズイコー神話」がある。その「神話」の主役がzuiko 28mm/f3.5と今回紹介するzuiko 35mm/f2.8だ。(28と35の数字の組み合わせが面白い)

OM ズイコーシリーズでは”廉価版”と”大口径版”の二種類が選べれるようになっているが、なぜか28mmと35mmではメーカがかなり力を入れて開発したであろう”大口径版”よりも、安価で多くの人に使ってもらうために開発した”廉価版”のほうが評価が高いのだ。これは決して”大口径版”の方を手を抜いて作られたということではない。それほど当時のオリンパスの技術者たちが”廉価版”とはいえ妥協を許さずこだわりのレンズづくりをしていた証でもあるとおもう。

◆良いところ
普段の撮影で常用レンズとして使用しているが、コンパクトで持ちやすいばかりかいい結果を残してくれるので大変重宝している。あのzuiko 50mm/f1.8と変わらぬコンパクトさで、スナップや旅行に最適だ。最短撮影距離も0.3mで、結構寄れるのもいい。花などもぐんと近くによって撮影が可能だ。

しかも、このzuiko 35mm/f2.8は写りの安定性がよく、画像の均一性が高い。実際に忠実な再現が可能だ。F5.6あたりの描写がとてもいい。開放F値はF2.8と平凡だが、周辺減光を感じることもなくボケ味を利用した表現も可能だ。絞れば被写界深度が深いので、パンフォーカスにも強い。スナップ向きにもなる。

広角レンズ特有のコマフレアを大幅に除去した鮮明な描写力を誇る。歪曲はほとんど気にならない。一般的に”大口径版”のF2の方が人気が高く、”廉価版”のf2.8は安物というイメージがあるが、前述のとおりzuiko 35mm/f2.8のほうが高く評価されている。zuiko 35mm/f2.8は最もズイコーらしいズイコーのレンズだ。

赤城耕一氏の著書「使うオリンパスOM」では、
「(zuiko 35mm/f2を紹介するページで)むしろF2.8の暗いレンズのほうがズイコーらしいコントラストとシャープさが期待できるので、正直言うと、こちらのほうがおすすめのレンズである。」と紹介されているぐらいだ。

◆悪いところ

絞り開放では周辺部に収差や光量の低下が認められやや甘めの描写になるが、少し絞り込めばコントラストの高い非常にシャープな写りになる。

絞り開放ではピントもそれほどシャープではなく、周辺の光量も落ちる。色再現は地味だ。ボケ味を利用した表現をしないならf5.6あたりまで絞るのがいいだろう。

◆エピソード

ズイコー広角の中では、単焦点の35mmを使う習慣が身についてなくて、私はどうも使う機会が少なかった。

そもそもカメラを始めた高校生のころ、一番最初に手にしたレンズがzuiko 35-70mm/f3.5-4.5ズームだった。他に使うレンズがないのでしばらくはこれ一本で頑張っていた時期が長くて、単焦点35mmを手に入れるたのは最近になってからのことだ。

だが、使いまわしてみると、スナップでは35mmを使える場面がたくさんあることに気づく。それに愛用していた40mmと互角は変わらない。40mmが使いやすい広さであり、35mmも使えて当然だ。なのに「35mm=広角」、「40mm=標準」としてどうも思い込んで区別していたようだ。

18mm、24mm、35mm、55mm、85mm (私の中ではAチーム)という単焦点の組み合わせで使う機会が増えてきた。これだけ本数が多くてもコンパクトで高評価で安心して持っていけれる。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8

コーティング MC
絵画コーナー  63°
レンズ構成  6群7枚
絞り・形式/範囲  自動/2.8-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  21x14cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  33mm / 59mm
品質  180g
フード  φ51mmかぶせ
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥36,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z013 M-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8(銀枠)  良好 コレクション
Z014 G.ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8(銀枠) 良好 展示用
Z015 ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8(黒枠) 良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 35mm F2

艶っぽい描写の使いやすい大口径広角レンズ。人物撮影に好適。

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 35mm F2 ズイコー 広角 35mm f2

ZUIKO AUTO-W 35mm F2
  • 画 質  ★★★☆
  • 携帯性  ★★
  • 希少性  ★★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★
ZUIKO AUTO-W 35mm F2

◆愛称 「さんごーえふに」

zuiko 35mm/f2なので、その数字だけを読んで基本「さんごーえふに」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。まあ佐藤さんを「サトー」と呼んでるようなものだ。

オリンパスのOMズイコーのシリーズでは”廉価版”と”大口径”の二種類が選べれるようになっている。私は基本、”大口径版”に対しては敬意を払ってニックネームをつけようとするのだが、大口径であるはずのこのレンズにはまだそれらしいニックネームが用意できてない。高価で上流階級向けのレストランの食事より、庶民のランチの方がかなり旨かったりすることがあるが、そういう例えでいい愛称がないか現在思案中だ。

◆良いところ

発色は良好だ。解像も問題ない。特にシャドー部の再現性がよい。これみよがしではないが、実力はある。艶っぽくて柔らかい表現をするのでポートレートに向くのではないかな。このレンズは時々びっくりするほどのリアルな空間表現をしてくれる。

深緑とルビー色のコーティングが美しい。デザインも美しく、OMボディーとのバランスがいい。zuiko 21mm/f2、zuiko 24mm/f2とよく似ており並べるとパッと見どれがどれだか区別がつかなくなる。また別のコーナでクイズ特集でもしようかと考えてるぐらいだ。

◆悪いところ
このレンズは少々癖がある。発色はいいのだがキリキリとしたOMズイコーらしい硬さではない。特にコントラストについては、いろいろ言われて評価がわかれるところだ。特に逆光時はシャープネスが低下するので注意が必要だ。

F2と明るい広角レンズだが、絞り開放付近ではコマ収差が気になる。樽型歪曲は人により大きくて使えないとか歪曲はないとか色々意見がわかれている。私の感触では近接すればするほど歪曲が強まるようだ。まあ気にはならないレベルだが。

zuiko 35mm/f2.8と比較するとカチッとした感じではなく、コントラストがやや低く湿度感の高いコッテリした描写になる。なので”廉価版”のzuiko 35mm/f2.8の方が評価が高い。(こういう話がズイコーレンズには多い)

ズイコー レンズの中ではスペックの割りには大柄だ。第1レンズが強い凸面であることが設計の古さを感じさせられる。

◆エピソード

そもそもカメラを始めた高校生のころ、一番最初に手にした ズイコー レンズがzuiko 35-70mm/f3.5-4.5ズームだった。しばらくはこれ一本で頑張っていた。したがって、単焦点35mmを使う習慣が身についていないのか、私はどうも使う機会が少ない。

広角にしてはパース感は物足りないし、構図はつまんなくなるし、使いこなすのが難しい。よく「初心者向き」と言われた35mmだが、ところがドッコイ、実は写真を知り尽くしたプロ向けのレンズなのだ。

これを買ったのは、zuiko 21mm/f2、24mm/f2、28mm/f2と揃えてzuiko 35mm/f2をあわせてF2広角4兄弟をコンプリートしたかったから、ただそれだけだ。したがって本当にあまり使っていない。かわいそうなので頑張ってもっともっと使おうと思っている。

<諸元>

ZUIKO AUTO-W 35mm F2

コーティング MC
画角  63°
レンズ構成  7群8枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  21x14cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  42mm/60mm
質量  240g
フード  φ55mmねじ込み
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥58,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z012  ZUIKO AUTO-W 35mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5

古く暗いレンズだがコンパクトで高描写力のある写り「伝説の銘玉」

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5 ズイコー 広角 28mm f3.5
ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★★
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5

◆愛称 「でんせつのたま」
ズイコーの銘玉を語る上でこのzuiko 28mm/f3.5というレンズは外せない。スペック的には「f3.5」というとても暗い普及型レンズで絞ってもf16だ。開放F値に無理がない機構にしているため画質が抜群によい。小型軽量でコントラストが高く、絞り開放からシャープな写りだ。

M-SYSTEM時代からリリースされ、80年代前半にf2.8の発表以降カタログからは消えてしまうが、いまだに人気も高く「伝説の銘玉」と呼ぶにふさわしい。

◆良いところ
小型軽量でコントラストが高く、絞り開放からシャープな写りだ。カリっと硬い写り。普及価格帯のレンズだが、古くからのOMファンから描写力があることで定評があるレンズだ。

色再現は古いレンズということもあり、やや温調な感じだが、嫌らしい感じではなく、むしろ落ち着きのあるものとして好感がもてる。

広角としてはとにかくコンパクトで、一見して広角に見えない。OLYMPUSらしい元祖普及レンズだ。パンフォーカス的にピントが合うので、人の多い場所でのスナップなどに重宝。集合写真もOK。パンにしてシャープ。使いやすいレンズだ。

最短撮影距離が0.3mと短いので人物に近寄ってのポートレートやスナップ撮影にも扱いやすい。

専用のメタルフードの質感も良い。(ちなみにメタルフードはf2.8でも兼用だが、2.8用のメタルフードは発売されていない)

赤城耕一氏は著書で「zuiko 28mm/f3.5はスペックにとらわれずに考えなければならない。OMユーザーならば必ず所有していなければならない1本なのである。」と述べている。

◆悪いところ
モノコートであることから逆光には少々弱いのでゴーストが出やすい。フードは必須だ。このモノコートなのが逆にいい雰囲気の演出になることがある。あえてフードをはずして逆光を狙ったとき、全体にやわらかなフレアがいい味にになったりする。短所は長所にもなるものだ。

zuiko 28mm/f2.8と比較すると発色はやや控えめ。前方から見ると、3枚目のレンズが目立つため小口径にみえるが、意外に大きい平面に近い前玉がついている。

開放では周辺光量の低下があるが、f5.6に絞れば問題ないだろう。

◆エピソード
zuiko 28mm/f2.8をすでに所有していたが、前述のとおり、赤城耕一氏の著書で「OMユーザーならば必ず所有していなければならない1本なのである。」とあるのを読んで「それならば買わねば」ということでzuiko 28mm/f3.5もネットオークションで入手した。

OM-1/2系標準のスクリーンでは、さすがに暗く感じるが、現在の技術の粋を集めたミラーレスならばEVFが明るくみせてくれるので、このレンズの能力をうまく活用できそうだ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5

コーティング SC
画角  75°
レンズ構成  7群7枚
絞り・形式/範囲  自動/3.5-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  18x27cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  31mm/59mm
質量  180g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  調査中

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z011 ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8

小型軽量、目立たないが優れたズイコーらしい「隠れた銘玉」

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8 ズイコー 広角 28mm f2.8
ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★★
ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8

◆愛称 「かくれだま」
zuiko 28mm/f3.5やf2と比べると目立たないレンズだ。「隠れた銘玉」といっていいだろう。

f3.5、f2.8、f2という28mm3人衆の中では最も目立たないが最も力を持っているのではないかということで「かくれだま」と名付けた。

◆良いところ
近距離撮影でも遠近感が強くですぎることがなく、スナップなど幅広く活用できる。しかも超小型軽量。コントラストの再現性は抜群で、暗部のディテール描写にも優れている。絞り開放からコントラストが高くクリアでシャープで発色も良好だ。

OM-1やOM-2 のニューモデルである Nシリーズが発表された80年代前半に登場したモデルだ。あの「伝説の銘玉」zuiko 28mm/f3.5の後継と位置づけられている。

ただ、いまでも「zuiko 28mm/f3.5の方が優れている」という声が聞かれるが正直それはどうだろう。f3.5の方はモノコート、zuiko 28mm/f2.8はマルチコートだ。f3.5より半絞り分明るく、1mm長くなり10グラム軽くなっている。レンズ構成は7群7枚から6群6枚で、パワー配分と対称性が改善されている。f3.5に比べ半絞り明るくなっただけでなく、コントラスト・解像力や諸収差など光学性能も向上した。当然zuiko 28mm/f2.8の方が使いやすく優秀であっておかしくない。小型軽量で性能の優れたズイコーらしい銘器だ。

◆悪いところ
高いコントラストを有し、中心部分の解像力が高いおかげで見る者を引きつける映像を形成する。ただ暗部がドーンと潰れてしまうぐらい時にコントラストが強すぎると感じることもある。

また他社の高級レンズと比べるともう一段の解像度が欲しい気がするが、そもそもこのレンズ”廉価版”だ。高級レンズを比較するというのもおかしな話だ。同等性能を持つレンズが高級レンズで探さないと見つからないのだ。

◆エピソード
昔から28mmは広角の中心であり、単焦点で最も使用頻度が高いのは28mmという統計結果もあるくらいの人気の距離だ。高校生の時28mmを買いにカメラ店に行った時、中古だが24mmに一目ぼれしてしまって、28mmを買いそこなった。24mmがあるので近い距離の28mmを買うにはちょっと躊躇してきて、手に入れるまで随分と時間かかったが、やはり、いいレンズだ。今では、21mm、28mm、40mm、85mm(Bチーム)という組み合わせか、18mm、24mm、35mm、50mm、100mm(Aチーム)という組み合わせでセットしている。

<諸元>

ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8

コーティング MC
画角  75°
レンズ構成  6群6枚
絞り・形式/範囲  自動/2.8-22
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  18x27cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  32mm/60mm
質量  170g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥47,000

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z010 ZUIKO AUTO-W 28mm F2.8  良好 保存&常用

<作例>

ZUIKO AUTO-W 28mm F2

広角の領域でも望遠のような美しいボケで柔らかい画風に

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 28mm F2 ズイコー 広角 28mm f2
 ZUIKO AUTO-W 28mm F2
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★☆

ZUIKO AUTO-W 28mm F2

新しいレトロフォーカスタイプ

◆愛称 「にっぱちえふに」
zuiko 28mm/f2なので、そのまま「にっぱちえふに」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。

オリンパスのOMズイコーのシリーズでは”廉価版”と”大口径”の二種類が選べれるようになっている。私は基本、”大口径版”に対しては敬意を払ってニックネームをつけようとするのだが、大口径であるはずのこのレンズにはまだそれらしいニックネームが用意できてない。

高価で上流階級向けのレストランの食事より、庶民のランチの方がかなり旨かったりすることがあるが、そういう例えでいい愛称がないか現在思案中だ。

◆良いところ
このzuiko 28mm/f2は、開放がf2と明るいにもかかわらず、フィルター径はφ49㎜でコンパクトに作られている。明るさは明らかに大口径の部類なのに径が小さいので”大口径”ってことでいいのか悩ましいところだ。

開放がf2だけに”ボケ”がなめらかで美しい。f2の開放時では、コントラストは弱めで、かなりソフトな描写になる。従って、28mmという広角レンズを使って柔らかい画を作りたい場合や、f2開放による被写界深度の浅さを使って望遠のようなボケのある画を狙いたい場合は最良といえる。またこのように開放では柔らかく、絞れば硬くなる。そういう変化のあるのもOMズイコーの特徴の一つだろう。

コントラスト、シャープさの高さについてはzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5には及びばないようだが、絞りをf4以上に絞り込めば改善され高くなる。シャドウ部の再現性はzuiko 28㎜/f2.8・zuiko 28mm/f3.5より良好のようだ。
他の広角の大口径レンズに採用されている近距離収差補正機構がzuiko 28mm/f2にも採用されており、近接撮影でも性能劣化が目たない。

広角の領域でボケを使った画風を狙うための28mm。こういう「他が作らないモノを作る」のがオリンパスの流儀だ。開発者である米谷美久氏の信念でもあった。こうした特徴のあるレンズがたくさんみられるのもOMズイコーの特徴の一つだ。

◆悪いところ
コントラストやシャープネスはそれ程高くなく、絞り開放付近では柔らかめの描写となり、周辺光量の低下もやや目立つ。高価な広角レンズの割にはどうなの?という気がするが、これは好みにもよるだろう。

確かに”廉価版”であるはずのzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5の方がzuiko 28mm/f2よりも評価が高い。だが、広角レンズを使って柔らかくしたい場合もあるだろう。f2開放による被写界深度の浅さを使って望遠のようなボケを楽しみたい場合もあるだろう。逆に言えば短所ともいえる面を長所に変えられる場合もある。zuiko 28mm/f2とはそんな使い方ができるレンズなのだ。ただそういうニーズのある場面に遭遇する機会が少ないのが難点なんだよなぁ。

◆エピソード
zuiko 21mm/f2をゲットし、zuiko 24mm/f2をゲット。そうなると広角 f2軍団を作りたくなるものである。中古でもちょい高いが、無理をしてこのzuiko 28mm/f2を買ってしまった。ところが、”廉価版”であるはずのzuiko 28㎜/f2.8やzuiko 28mm/f3.5の方が評価が高いという。なんじゃそれーー。

こういうことがあるから本当にOM ズイコーって面白いのだ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 28mm F2

コーティング MC
画角  75°
レンズ構成  8群9枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.3m
最近接撮影範囲  27x18cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  43mm/60mm
質量  250g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥100,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z009 ZUIKO AUTO-W 28mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO SHIfT 24mm F3.5

シフト独特の大きな玉が最高級の描写力を実現

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-SHIfT 24mm F3.5 ズイコー シフト 24mm F3.5
ZUIKO SHIfT 24mm F3.5
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★
  • 希少性  ★★★★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO SHIfT 24mm F3.5

◆愛称 「水晶玉」
OMズイコーらしくない非常に大きな丸い玉が特徴のシフトレンズだ。正面からのぞくと、魔法使いが使う水晶玉のような、妖しい雰囲気が漂っている。魔力的な力が発揮できそうなことから「水晶玉」と名付けた。

◆良いところ
シフトレンズとは別名「あおり」ともいうが、被写体からの光軸を平行に移動することにより遠近差による歪みを補正する仕組みのことだ。引きの無い場所での建築物の撮影や、意外にも大勢の集合写真にも使える。アイデアによるシフトレンズの活用方法はいろいろありそうだ。

シフトレンズのzuiko 24mm F3.5では、18mm相当の画像を24mmにトリミングする仕組みなので、イメージサークルは大きく直径約60mmもある。そのためサイズは大きくなるが、大きなレンズの中心部を使うことになるため通常より遥かに素晴らしい描写力を持っている。開放からでもかなり良い。また超広角であることを忘れさせてくれるくらい周辺減光は少ない。色収差や周辺収差も全くない。発色は原色がやや強調されるきらいがある。

発売当時は唯一の24mmシフトレンズだった。これを使いたいがためにOMに乗り換えた人もいたそうだ。Nikon用とかCannon用にマウントを改造したモノがちょくちょく中古市場で見かけることがある。それぐらいかつては貴重な存在だったのだろう。かなりでかいが近年登場の他社の同一スペックとものと比べるとコンパクトなのがOMズイコーらしい。

◆悪いところ
外観が大げさで、大きく重いので携行性に難点がある。

第1面に異常低分散ガラスを使用している。もちろん色収差改善が目的だろうが、異常低分散ガラスは軟硝材とも呼ばれとても柔らかく傷がつきやすい。保護用のフィルターが付けられない構造で、その1枚目に使われているのだ。取り扱いには細心の注意を払わないと高価な機材が台無しだ。

絞りは自動ではなく、プリセット方式となる。プレビューボタンに相当する場所にレバーがあるのでこれをトグル操作することで開放と絞込を切り替える仕組みだ。これが慣れないとうっかり忘れてしまう。オート絞りのつもりでMF機のAE撮影したときの露出値が違うものになるので注意が必要だ。

シフト撮影(あおり)は上下に10mm、左右に8mm光軸を中心からずらすことでできる。光軸をずらすには、指でピントリング付近を押してずらす。微妙な感覚を親指と人差し指で上下左右にずらす。これも慣れが必要だ。

◆エピソード
ネットでこの水晶玉(シフトzuiko 24mm F3.5)の存在を知って、虜になってしまった。どうしても欲しい。だが、希少性高くめったに出くわすことがない。出くわしてもキズだらけだったりカビだらけだ。OM ズイコーは中古屋にも絶対数がそもそも少ない上に、そもそもカビクモリの出やすいレンズなので、状態のいいモノを探すのがとても大変なのだ。

そんな中、たまたま仕事で大阪に寄った時にナニワカメラさんで状態のいいシフトレンズに出会うことができた。一期一会。即購入した。

にもかかわらず、たいして使ってない・・・・。使いにくいのと、シフトレンズって建築業者と違って使う機会ってそんなにないんんだよねぇ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-SHIfT 24mm F3.5

コーティング MC
画角  84° (シフト時最大100°
レンズ構成  10群12枚
絞り・形式/範囲  手動/3.5-22
最短撮影距離  0.35m
最近接撮影範囲  36x24cm
ピント調節方式 回転カム(インナーフォーカス)
全長/最大径  75mm/84mm
質量  510g
フード  固定
フィルター  組込み式 (neutral, Y48,O56, R60)
発売時の価格  ¥214,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z08 ZUIKO AUTO-SHIfT 24mm F3.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2.8

コンパクトでシャープでコントラスト高くOM ズイコーらしい超広角

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 24mm F2.8 ズイコー 超広角 24mm F2.8
ZUIKO AUTO-W 24mm F2.8
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★☆
  • 人気度  ★★★★
  • 総合評価 ★★★★
ZUIKO AUTO-W 24mm F2.8

◆愛称 「にーよんにっぱち」
zuiko 24mm/f2.8なので、その数字だけを読んで基本「にーよんにっぱち」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。まあ藤井さんを「フジー」と呼んでるようなものかな。

オリンパスのOMズイコーのシリーズでは”廉価版”と”大口径版”の二種類が選べれるようになっている。私は”大口径版”に対しては敬意を払ってニックネームをつけようとする。だが”廉価版”では普段使いのため気にせず気楽に本名で呼ぶことが多い。人間関係では近しい間柄にはニックネームで、先輩や年長には本名でというのに、それとは逆になっているのが面白い。

◆良いところ
なんといってもそのコンパクトさだ。OMボディに良くマッチする。一見、zuiko 50mm/f1.8とまちがえてしまうぐらいのものだ。気軽に持ち出せるので、旅行や登山などの普段使いで等で活躍してくれる。これほどまでにコンパクトでそれでいて切れるほどの画質。これこそオリンパス、非常に OMズイコーらしい広角レンズといっていい。

また24mmという画角が広角としては丁度いい。遠近感が相当デフォルメされ、広い範囲が写る。 広大な風景、たとえば平原、山頂からの俯瞰、火口、平原、海原、スタジアムなどの大きさ・拡さを表現するには もってこいの広角だ。

絞り開放からシャープな描写でコントラストもOMズイコーらしく十分。周辺部の描写もかなり良好だ。

ラッパ型のメタルフードがこれもカッコイイ。

◆悪いところ
周辺光量の低下が目立つことがある。

また、ボケは硬い感じで綺麗とはいえない。絞り開放の周辺部では二線ボケの傾向があるが、f4まで絞れば気にならないだろう。

◆エピソード
このzuiko 24mm/f2.8は、高校を卒業して専門学校に通っていた時にアルバイトでためたお金で買ったレンズであり思い入れがある。35-70mmのズームを持っていたので当時は定番の28mmかなと思っていたが、中古屋でこの24mmを見て一目ぼれして貯めてた資金を全てはたいて買った。自分のはヘリコイドのアソビが大きくてピントを合わせるたびにガクガクしているが写りは抜群だった!(現在はガタのないものに買い替えたが、あれはあれで残しておけばよかった・・。)

その後自分の中では広角といえばzuiko 24mm/f2.8になった。その後zuiko 40mm/f2を購入し、zuiko 40mm/f2とzuiko 24mm/f2.8の組み合わせで色々と撮影した。若き日のヨーロッパの旅行にも連れていった。

当時、本革製のハードケースと一緒に買ったのだが、カビなのか白っぽくなって中のモルトがボロボロになったので捨ててしまった。その後、思い出として保管しておけばよかったと悔んでやまなかったので、ハードケースだけをヤフオクで探して何とか競り落とした。どうしても取り戻したかったのだ。結局使うことはないが・・・。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2.8

コーティング MC
画角  84°
レンズ構成  7群8枚
絞り・形式/範囲  自動/2.8-16
最短撮影距離  0.25m
最近接撮影範囲  23x15cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  31m/59mm
質量  180g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥54,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z007 ZUIKO  AUTO-W 24mm F2.8  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2

ズイコー広角の銘玉。色、解像ともに最高の大口径の超広角

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 24mm F2 ズイコー 超広角 24mm F2
ZUIKO AUTO-W 24mm F2
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★★★
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-W 24mm F2

◆愛称 「えるまー」
zuiko 21mm/f2を「でぃすたごん」を名付けた。それならば同じく銘玉と呼ばれるzuiko 24mm/f2にもそれ相当の称号を与えないわけにはいかんだろう。ということでかの「えるまー」と名付けたのだが、友達が聞いて「はぁ?」と。いかんいかん。わかる人にしか言わないでおこう。

◆良いところ
OMズイコーの広角の中では、最も性能が優れているといえる銘玉中の銘玉だ。コンパクトさは多少犠牲になっているものの、前景から背景まで、透明感のある描写をしてくれる。開放でもシャープでしゃっきりしたメリハリのある画が撮れる。

OMズイコーらしく適度なコントラスト、解像度ともに申し分なく、発色も自然であり豊富な周辺光量を持っている。四隅の光量不足は全く判別できないレベルだ。近距離収差補正機構が採用されており、近接撮影でも性能劣化が目たない。

またf2という非常に明るい最高の大口径広角だ。博物館など限られた光量の屋内撮影に威力を発揮する。

zuiko 24mm/f2は超広角と広角の境目くらいで(私としては)使いやすい広さで、広大な風景や建物内などいろいろ活躍してくれている。歪みが少ないので、建物とかを撮ってもきれいだ。

◆悪いところ
見た目はzuiko 24mm/f2とzuiko 21mm/f2とはあまり変わらない。重量275gでありOMボディに装着すると、ややレンズが大き目で重たく感じるかな。ただ、それはOMズイコーとの比較の話であり、他メーカと比較すると普通じゃないかな。普通の大きさで高性能とくれば素晴らしい玉だ。

フィルタがφ49mmじゃなくφ55mmということを気にする人もいるようだが、私は全く関係ないと思う。むしろOMズイコーを全てφ55mmで統一してもよかったんじゃないですか?と思うぐらいだ。

つまり私的には欠点は全くないのだ。

◆エピソード
zuiko 24mm/f2は1980年代前半、OM-4と時を同じくして開発発表された、高性能レンズ群の一つだ。私は高校生の時カタログでこのレンズを見て遥か手の届かない値段を見て「いつかは手にしてやる」と心に誓ったレンズの一つだ。

なかなか程度のいいブツが現れなくて探しあぐねていたところ、オーバーフォール済みのものが高価であるがオークションにでていたので奮発して買った。どうしてもほしかったのだ。

広角ではzuiko 21mm/f2と合わせてお気に入りの一つ。広角では一番よく使っているかな。


<諸元>

ZUIKO AUTO-W 24mm F2

コーティング MC
画角  84°
レンズ構成  8群10枚
絞り・形式/範囲  自動/2-16
最短撮影距離  0.25m
最近接撮影範囲  23x15cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  48mm/60mm
質量  280g
フード  φ55mmねじ込み
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥102,000

 

<所有レンズのデータ>

すべてのノー 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z006 ZUIKO AUTO-W 24mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5

常識を破る驚異的な小型軽量設計の超広角

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5 ズイコー 超広角 21mm F3.5
ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5
  • 画 質  ★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★★

ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5

レトロフォーカスタイプ

◆愛称 「にーいちさんごー」
zuiko 21mm/f3.5なので、その数字だけを読んで基本「にーいちさんごー」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。まあ佐藤さんを「サトー」と呼んでるようなものかな。

オリンパス OMズイコー シリーズでは”廉価版”と”大口径版”の二種類が選べれるようになっている。私は”大口径版”に対しては敬意を払ってニックネームをつけようとする。だが”廉価版”では普段使いのため気にせず気楽に本名で呼ぶことが多い。人間関係では近しい間柄にはニックネームで、先輩や年長には本名でというのに、それとは逆になっているのが面白い。

◆良いところ
当時の常識を破る驚異的な小型軽量設計で一見、zuiko 50mm /f1.8とまちがえてしまうぐらいのものだ。(全長はzuiko 50mm/f1.8と変わらない)これほどまでにコンパクトでそれでいて切れるほどのシャープな画質という。これこそオリンパス、OMズイコーらしいレンズといっていい。

OMズイコーの画質は「暗いレンズの方が良い」と言われているがこのレンズもその一つだろう。明るさはf3.5にとどまるものの、絞り開放からシャープな良い超広角だ。コントラストも高い。パワー配分が良くなって諸収差や歪みが抑えられていて歪曲はほとんど目立たず、ダイナミックな映像表現が可能になる。性能は”廉価版”にもかかわらず”大口径版”に引けをとっていないと思う。実際OM ズイコーは”廉価版”の方が優れているケースが少なくない。

◆悪いところ
すこし逆光に弱いようで、太陽が画面に入るとゴーストが気になる。また、開放からf8にかけて四隅が流れたようにわずかに乱れ、絞ると明るい点光源に絞りの回折像が現れることがあるようだ。

また、小さすぎるのもあるが、zuiko 50mm/f1.8 や zuiko 28mm/f2.8などと一緒にしているとカメラバッグの中でどのレンズを取り出そうとしているのか区別がつきにくい。触っただけでは分からないのだ。

一体何を写せばいいのか迷くことがある。基本的に超広角はムツカシイ・・皆同じ構図になってしまう・・・。(これは私の個人的な問題だけど。)

◆エピソード
本当はzuiko 21mm/f2がほしかったのだがなかなかいいブツが見つからずあぐねていたころ、たまたま近くの中古屋で上質なzuiko 21mm/f3.5の方を見つけた。こいつの評判はいいのは知っていたので即購入。購入後、先に欲しかったzuiko 21mm/f2も見つかりこれも購入。ほぼ同じタイミングで欲しかった二つのOMズイコーレンズを同時に入手したのだ。

超広角は使う機会が限られて余り使うことはないだろうと思っていたのだが、使っていてとても楽しくて持ち出す機会が多くなった。

 

<諸元>

ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5

コーティング MC
画角  92°
レンズ構成  7群7枚
絞り・形式/範囲  自動/3.5-16
最短撮影距離  0.2m
最近接撮影範囲  21x14cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  31mm/59mm
質量  180g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥72,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z005 ZUIKO AUTO-W 21mm F3.5 良好 保存&常用

 

<作例>