ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

柔らかくも硬くともあらゆる撮影シーンに対応する万能標準

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4 ズイコー 標準 50mm F1.4

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

純正ガウスタイプ

◆愛称 「ひょーじゅん」
OM全盛期、OMひと桁機(OM-2,OM-4・・)の標準レンズとして一緒に販売されていたレンズがzuiko 50mm/f1.4だ。なので愛称は「ひょーじゅん」だ。

ちなみにOMふた桁機(OM10,OM20・・)の標準レンズはzuiko 50mm/f1.8。つまりzuiko 50mm/f1.4はフラッグシップ用としての誇り高き標準なのだ。

◆良いところ
開放は甘く柔らかい描写で絞るほどにコントラストが上がっていき絞ればF5.6位で性能をフルに発揮するという、二つの顔をもつ面白い性質をもった特徴的な標準レンズだ。

絞り開放モード(と呼ぶことにする)では描写が柔らかい。解像しながらも軟らかいものがまとわりつく感じ。絞りモード(と呼ぶことにする)にするとシャープに変わる。F2.8くらいからかっちりしてくるように思われる。シャープネスは高く色再現もしっかりしている。

描写傾向はややコントラストが高めだ。標準的な7枚構成の変形ガウス型を採用している。好みもあるが、OMらしくコンパクトにまとまったレンズといえるだろう。OMボディに装着した時の格好もいい。

~赤城耕一氏「使うオリンパスOM」より~
「設計当時のほとんどの国産メーカーの標準レンズがそうであったように、このレンズも球面収差は補正過剰気味だ。開放時はハレっぽい感じであり、特有の柔らかさを持つ。それでもピントの合った部分では細かなところまで、よく解像している。わずかに絞っただけでも、急激にコントラストが増す。絞りによって性格が変わるタイプのレンズである。F5.6あたりの絞り値では、実に高品位な描写になる。」

◆悪いところ
zuiko 50mm/f1.4といえば標準レンズというぐらいだからカメラと一緒に販売。なので(当時は)最も出荷量が多いレンズなのだ。なので標準レンズといえばカメラ会社の顔だ。

上記でも述べたが、そんな標準レンズの中でも当時の「50mm f1.4」といえばフラッグシップ用。なので各社気合いをいれて開発を競ってきた。もちろんzuiko 50mm/f1.4は素晴らしいレンズだ。

絞り開放時とF5.6位まで絞った時まで全く別のレンズのような特徴を持つ。そんな特徴的な性格を標準レンズにしたのは、たまたまかもしれないが、もしかすると意図があったのかもしれない。

ホワっとしたポートレート撮影にもカリカリな風景撮影にもあらゆる撮影スタイルに対応させたのです!となれば十分な長所となるのだが。残念なことに絞り開放モード(と呼ぶことにする)の描写は人によっては評価がわかれてしまうものだ。

絞り開放モードのホワっとした柔らかい描写が、「コントラストが低い」「色が乗らない」「フレアが出やすく鮮鋭度がぐっと落ちる」という悪評になっているのだ。(絞りモードにすれば解決するのだが。)まあそれこそ好みなんだけどね。

よく比較されるのがzuiko 50mm/f1.8との差だ。zuiko 50mm/f1.8はこれまた出来の良いレンズで、性能が高くコンパクト。実用上は大差ない。1.4はやや大柄で、重さもあるし、価格も高くなる。ただこれもポートレートとしても使えるよと考えればお得なんだけどね。

絞り開放モードでは肌のシミ・ソバカス・シワをシビアに強調しないから、彼女を美人に撮れるレンズという付加価値もあるのだ!

◆エピソード
OM全盛期の当時、カメラを買えば必ず標準レンズ(50mm)とセット、、というのが当たり前の時代だったが実は自分は標準レンズ付きでカメラを買ったことがない・・。

生まれて最初に買ったOM10はzuiko 35-70mm/f3.5-4.5の組み合わせだった。次に買ったOM-4はzuiko 40mm/f2に一目ぼれしてそっちを標準としてしまった。なので自分の人生で最も多感で伸び盛りの若きカメラ熱中時代にF1.4などという明るいレンズの使用体験をしてこなかったのだ。それに悔いがあるのか今では積極的に標準レンズを楽しんでいる。

立派なメタルフード(50mm/f1.8及び35mm/f2.8と共用)が用意されているが、後年、ラバー(ゴム)製のものに変更された。私は当初、「やっぱメタルがカッコイイ」って思ってた。だが使っていくうちに「やっぱりラバーの方がクッションになって扱いやすい」と思うようになった。

年季を重ねると格好より実用的な方がよく思えてくる。オリンパスもそいういうニーズを大切にしてラバー製のフードに切り替えたのかな?

ところでzuiko 50mm/f1.4には次の5つのタイプがある。(M-SYSTEMも分ければ6タイプ)

●TYPE-1 銀縁モノコート(G.ZUIKO AUTO-S)
M-SYSTEMとOM-SYSTEMがある。

●TYPE-2 黒縁モノコート(G.ZUIKO AUTO-S)
TYPE-2とTYPE-3、4の違いはモノとマルチコート。

●TYPE-3 マルチコート、MC表示あり(ZUIKO MC AUTO-S)
シリアルが70万番台以上で100万番台未満。
TYPE-4、5と比較するとマルチコーティングの色が濃い。
クモリ玉が多いので中古購入時は要注意。

●TYPE-4 マルチコート、MC表示あり(ZUIKO MC AUTO-S)
シリアルが100万番台以上で110万番台未満。
TYPE-3と比較するとマルチコーティングの色がうすい。
クモリ玉があるので中古購入時は要注意。

●TYPE-5 マルチコート、MC表示なし(ZUIKO AUTO-S)
シリアルが110万番台以上。
TYPE-5のみリアガードが角になっています。
TYPE-5のみマウント部がツーピース構造となっている。
TYPE-1~4のリアガードは一枚の板。
TYPE-3と比較するとマルチコーティングの色がうすい。

トリウムレンズは日本では1970年代半ばまで製造されていた。
OMファン様(http://www.asahi-net.or.jp/~RN6H-IMI/)より

<諸元>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4

コーティング MC
画角  47°
レンズ構成  6群7レンズ
絞り・形式/範囲  自動/1.4-16
最短撮影距離  0.45m
最近接撮影範囲  24x16cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  36mm [40mm]/60mm
質量  230g
フード  φ51mmかぶせ
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  なし(ボディ付属のため)

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z019 M-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-W 50mm F1.4(銀縁)  良好 保存&常用
Z020 G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4(銀縁) 良好 コレクション
Z021 ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4(黒縁) 良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4」への2件のフィードバック

  1. こんにちは初めまして、最近オールドレンズが気になりオリンパスOMレンズを購入しα7ⅱに着けて楽しんでます。28mmF3.5、50mmF1.4、100mmF2.8。どれも個性的で色んな表情を出してくれます。製造がMade In Japanと当時の作りはしっかりしてますね。特に50mmF1.4はポートレート写真に最適です。順光は良い色合い。逆光は派手なフレアーがでますので社外品のフードを付けています。こちらのサイトは結構参考になります。オールドレンズを沢山所有されていますが保管が大変そうですね。
    色々一杯書き込んで申し訳ありません。

    • だまりんさんこんにちわ。書き込みありがとうございます。
      50mmF1.4は私も大好きなレンズの一つです。逆光についてはMCでも全般的に弱いのでフードは必須ですね。

      ところで保管についてですが、実は自宅だけでは収まり切れなくて、会社の自席の下にも隠しているんです。
      結構苦労しているんですよねぇ (^-^;

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