OM-ZUIKOシリーズではシフト機能のレンズは2本でているが、ティルト機能のレンズは発売されることはなかった。どちらかといえばティルトの方が面白いのにもかかわらずだ。
ティルト (tilt) とは、英語で「傾ける」という意味だ。 チルトともいう。
レンズのティルト機能とは、レンズを斜めに傾けピントの合う範囲を調整することだ。極端なボケ味を楽しむことができるようになる。
そこで、今回α7ii用のマウントアダブタ―でティルト機能のものがあったのでご紹介しよう。
シフトとの違い
シフト機能とはちょっと違うので注意しておきたい。シフト機能とはレンズの光軸と撮像面を意図的にずらして逆の歪みを発生させ、結果として像の歪みを補正することとなる。高いビルなどを、地上の近い距離から撮影した場合、上に行くに従い小さくなって写るが、シフトにより遠近感を補正することができる。 「あおり撮影」ともいう。
シフトがレンズの中心軸を「ずらす」のに対して、ティルトは「傾ける」もしくはレンズを「折る」イメージだ。ティルトすることで中心以外が極端にピントがあわなくなる。これを利用して風景をおもちゃのようにするミニチュア撮影をしたり、幻想的なポートレート撮影にも応用できるのだ。
Pixco製ティルトマウントアダプター
持っていたのはPixco製の安物だ。KIPONのTILT&SHIFT機能付きの立派なマウントアダブタももっていたのだが、Pixco製がシンプルなのでこれが使いやすいかと思って今回はこれで試してみた。
数字が1~8まであるが、このヘリコイドで傾き(tilt)量を調整する。1が傾きが大きく、8はなしだ。
傾く向きは回せば30°毎に簡単に移動できる。両手でレンズとボディを持って捻れば簡単だ。カチカチと回っていく。3回目のクリックで90°の移動。上下のティルトが左右のティルトに代わるのだ。とっても簡単でわかりやすい。
ところが、いかせん問題なのが、このティルト向きの回転機能だ。回転のロックがないのだ。レンズを交換しようと回すと一緒にティルト向きが回転してしまう。実にレンズ交換のしにくいマウントアダブタ―だ。。その点KIPONの方はロックがついていてレンズ交換は安心だった。使い心地は難しいが、、、
作例
気になるのが作例だ。
今回あえて、ボケないレンズとして、ZUIKO 35-105mm F3.5-5.6とZUIKO 24mm F2.8をつかってみた。「ボケないレンズをボケさせること」が目的だったが、「ボケるレンズをよりボケさせること」のほうがよりおもしろかったかもしれない。
渋谷の街をティルトした。おもちゃのように見えるだろうか? もっと明るいレンズのほうが効果がたかかったかもしれない。
渋谷の街全体を俯瞰したほうがミニチュアらしくみえるかもしれない。
左右のティルト。上下と左右をつかいわけるのがおもしろい。いろいろためしてみよう。
あとで気づいたのだが、フードを付けてティルトしすぎると、フードでケラレてしまうので注意しよう。ティルト撮影の時のフード着用は十分に注意が必要だ。上記作例はケラレてしまっている。
ポートレート撮影でためしてみるのが面白いと思う。また1.2ぐらいの大口径でもためしてみたいものだ。