ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5

悪条件でも高いマクロ性能を発揮できる中望遠マクロの決定版

ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5 / ズイコー マクロ 135mm F4.5
ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★★★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5

◆愛称 「おおまくろ」
「オートエクステンションチューブ65-116」または「オートベロ-ズ」を併用で使うのが大原則のマクロレンズだ。その場合、一番でっかいくなるので「おおまくろ」だ。

◆良いところ
キリッとしたピント、高いコントラト、やや硬めの描写はマクロ撮影のために徹底的に研究され設計されていることによるものだろう。曇り空など条件が悪い中でも色再現は抜群だ。

「オートエクステンションチューブ65-116」を併用で使うという特殊性から見て目も特殊な印象がするが使い勝手は簡単なものだ。ざっくりオートエクステンションチューブの伸縮で行い、レンズ側のフォーカシングリングで微調整をとる。

マクロ専用レンズという位置づけだが、オートエクステンションチューブを使えば無限遠の撮影も可能なので一般の135mmとしても使用できる。オートエクステンションチューブを使いながらも自動絞りは維持されている。

F値は4.5と明るくはないが、ピントの切れがいいのでピントはとても合わせ易い。

◆悪いところ
暗いF値、オートエクステンションチューブを使わないと使用できない特殊性、ゆえにその異様な風体と大きさ。そういったところが本レンズを一般的なものにしていない要因かもしれない。だが、上記の通りこのレンズはオリンパスの傑作ともいえる高評価マクロレンズなのだ。

糸巻き型の歪曲がやや気になるが、格子状の絵ずらを撮影することなどマクロではめったにないので気にしなくても十分問題ないだろう。

◆エピソード
使っていて実に気持ちいい。「オートエクステンションチューブ65-116」を併用だと図体はでっかくなるが、無限遠もでるため用途は広くなる。

気になるのはF4.5という暗さだろう。だがデジタルカメラで使うにはF4.5程度の暗さはさほどの欠点ではない。高画質で高感度のイメージセンサーがカバーしてくれるからだ。デジタルの現在では暗いことは欠点ではないのだ。むしろ使いやすくていい写りができればいい。α7sがあれば持ってこいだ。近づけないマクロ撮影。たとえば蓮の花や昆虫の撮影によく使う。

ところで、小さい被写体を撮影することを一般的に「マクロ撮影」と呼ぶ。ただニコンだけはなぜか「マイクロ撮影」と呼んでいるね。

・マクロ・・・「非常に大きい」「巨大な」
・マイクロ・・「非常に小さいもの」「極微」同=ミクロ

それぞれそういう意味なのだそうで、ということは小さいものを写すのだからニコンのいう「マイクロ撮影」が正しいし、小さいものを大きくするという意味では「マクロ撮影」も正しいのだ。

ともかくそんなマクロ撮影だが、被写体に寄ると自然と大きくなるので、寄れるレンズがマクロレンズと思いがちだ。それは間違いで、大きく写せるものをマクロレンズという。なので中望遠レンズなど、近くに寄ることができなくても、被写体を大きく写せるのなら「マクロレンズ」となるのだ。135mm F4.5はまさに寄らなくても大きく写せるマクロレンズなのだ。

ちなみにめいいっぱい被写体に寄って写すことを「クローズドフォーカス」という。コシナさんあたりがこの名称をつかってるが、オリンパスもレンズの最短撮影距離を縮める機能をCLAUSE FOCUSと呼んでいる。

ところで、このレンズの専用ラバーフードは90mmF2と兼用となっている。90mmF2用のフードを探し求めていた時に、実は135mmで持っていることが判ってがっくりしたことがある。

<諸元>

ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-MACRO 135mm F4.5  良好 保存&常用

 

<作例>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5

画質よくコンパクトで取り回しのいいカジュアルな望遠ズーム

S ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5/ズイコー 望遠ズーム 100-200mm F5

S ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★
S ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5

◆愛称 「ひゃくにひゃく」
100-200mmの望遠ズームなのでその数字だけを読んで基本「100-200」と呼ぶ。ただそれだけの愛称だ。まあ佐藤さんを「サトー」と呼んでるようなものだ。

望遠ズームにしてはコンパクトで優秀なレンズだ。このレンズにはまだそれらしいニックネームが用意できてない。高価で上流階級向けのレストランの食事より、庶民のランチの方がかなり旨かったりすることがあるが、そういう例えでいい愛称がないか現在思案中だ。

◆良いところ
カジュアルなズームというのがぴったりな感覚だ。
望遠ズームにしては非常にコンパクト(長さ148mm、重さ570g)で写りもシャープで発色のいいとても優秀なレンズだ。

値段的にも主に、学生がターゲットだったのだろか。小さく軽いので、カジュアルな撮影や登山、風景、野鳥撮影、屋外イベント向けに開発されたように感じる。

◆悪いところ
100mm~200mmというなんとも微妙な2倍望遠ズームだ。積極的に使えるシーンがあまりない。

それにF5という暗さだ。オリンパスの場合「小さく軽く」は必ず絞り値が犠牲になっている。

テレコンバータを付けて鳥をとるのが取り回しがいいと聞いたが、F5の絞りがF10になっちゃう。200-400のズームでF10 ではいただけない。

デジタルカメラで使うにはF5程度の暗さはさほどの欠点ではない。高画質で高感度のイメージセンサーがカバーしてくれるからだ。デジタルでは暗いことは欠点ではないのだ。むしろ使いやすくていい写りができればいい。軽いし、映りはいい。α7sがあればもっといいのだが。野鳥撮影に使いやすい。

◆エピソード
80年代の中盤からズームレンズがにわかにブームになった。各メーカは必死になって開発したに違いない。特にその需要は学生に多かった。特に望遠レンズが人気があったが学生たちはお金がないのでサードパーティの安価なレンズが売れたのだ。

その時代に生まれたのがこのレンズだろう。サードパーティ(レンズ専門メーカ)よりも優秀で品質を維持しつつ、学生にも手の届く値段で提供しないといけない。しかも需要のあるうちに短期間で開発だ。

その答えが100-200mm F5というスペックになったのではないかな。

S ZUIKOと「S」が付いているのはサードパーティ製を表しているらしい。つまりOEMだ。

これは他の製品なら珍しいことだ。なぜなら普通はOEM製だとしてもわからないようにするものであって、堂々と「これはうちでは作ってないよ。よその製品だよ~」とメーカが表記するなんて。どうもこのころのオリンパスはズーム設計には自信がなかったのか、28-48mmや35-70mmなど他にも3本「S」が付いているものがある。これはコシナ製とのことで、小さく軽く性能もよく現在でも評判がいい。オリンパス純正でないにも関わらずだ。「S」が付けなきゃオリンパスの評判になっただろうに。オリンパスとしてはリスクをとったのだろうか。もし評判が悪くなった場合に「うちのじゃないもーん」と逃げ切れるとおもったか?でも結果としては高評価になったのだ。

私がこのレンズを購入したのも「S」が付いている(=コシナ製=評判がいい)から試してみたくなったのだ。結果はもちろん期待通りであった。

それまではカメラメーカの純正レンズが優秀でレンズメーカのレンズは二流三流という思い込みがあったが、必ずしもそうではないことを教えてくれたレンズなのだ。こうして私はコシナも大好きになった。


<諸元>

S ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm F5

古くからのレンズだが異常分散レンズも使う高性能望遠レンズ

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm F5/ズイコー 望遠ズーム 85-250mm F5

ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm F5
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★★
ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm F5

◆愛称 「ながいも」
はじめてこのレンズをみたとき、「わっ、細長!」って思った。なにせフィルター系49mmの細さに対して、196mm(銅鏡長)の長さだ。見た目もあの75-150mmF4をぐいーんって横に引き伸ばしたようなデザインだ。したがって75-150mmF4が「いもレンズ」なので、それにあやかって「長いも」となった。

◆良いところ

こうした細長く高倍率なレンズは決まって粗悪なものというのが経験則だろう。なのでこのレンズもあまり期待はしていなかった。

ところが意外にもよく写る。OM -ZUIKOらしいこってりした色合いにカリカリのシャープネスだ。高倍率ズームであることを忘れてしまうほどだ。

聞けばED(特殊低分散)ガラスをつかっているとのこと。写りは納得だが、大口径レンズでなくてもEDを使うなんて。本当に意外なレンズだ。

それにしても本当にオリンパスは謙虚で控えめな名前にする。ZUIKO SUPER ZOOM 85-250ED とでもしてもよかったのではないか。

◆悪いところ

やはりF5という暗いレンズだ。

デジタルカメラで使うにはF5程度の暗さはさほどの欠点ではない。高画質で高感度のイメージセンサーがカバーしてくれるからだ。デジタルでは暗いことは欠点ではないのだ。むしろ使いやすくていい写りができればいい。その条件に85-250mm F5はとてもあてはまっている。軽いし、映りはいいし、3倍ズームは楽ちんだ。α7sがあれば持ってこいだ。野鳥撮影によく使う。

ちょっと細長いが、カバンの入れ方を工夫すれば細長いのでかさばらなく突っ込むこともできるのだ。

◆エピソード
OMズイコーをコレクションにしながら、「きっとズームレンズは集めることはないな」と考えていた。暗くて写りは悪いだろうし、どうせ使わないだろうから集めても邪魔になるだけだと考えていた。

ところがどっこい、実は意外にも85-250mm F5に関してはよく使う。というか、使える。姿だけでなくそんな性格も75-150に似ている。

お気に入りだ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 75-150mm F4

2倍程度のいもズームと思いきやプロも認める高性能

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 75-150mm F4/ズイコー 望遠ズーム 75-150mm F4
ZUIKO AUTO-ZOOM 75-150mm F4
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★★★
  • 希少性  ★★
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-ZOOM 75-150mm F4

◆愛称 「いもれんず」
どうもOMズイコーの中望遠~望遠はずんぐりむっくりしたデザインが多い。みた目の印象が「イモっぽい」のだ。なので総じてこれらをいもレンズと呼ぶ。(性能はイモではない)200mm/F4は「おおいも」で200mm/F5は「こいも」、85-250mm F5は「ながいも」となる。そのなかで75-150mm F4は代表的な「いもレンズ」なのだが、決して性能はイモではない。

◆良いところ
ズームレンズの黎明期から登場しておりロングセラーとなったレンズだ。そのため中古市場でもあちらこちらで安価でみかける。

そのため”廉価版”として安物の印象が残るのだが、ところがどっこい。意外にも描写力はとても優れているのだ。

赤城耕一氏著「使うオリンパスOM」においても高い評価を与えている。

「画質は驚くほど高く、実にシャープなレンズである。特に75ミリ側が優れているようだ。ズイコーにしては特に硬いという印象がなく、階調再現に優れているところも評価したいし、モノクロにも抜群の相性をみせる。カラーの再現も現在のレンズと比較しても全く問題がなく、ヌケがよいため品の良いレンズのように思える。」

◆悪いところ
ズーム比はわずか2倍。ズームとしての実用価値は高くはない。むしろズームとは思わず135mmF4と思って、多少引きも寄りもできると考えた方がいいかもしれない。単焦点と考えても問題ない描写力だからだ。

実は発売最後までマルチコートにはならなかった。刻銘には「F.ZUIKO」という表記ではなく単に「ZUIKO」となっているにも拘わらずだ。

そのため、逆光に弱いのが欠点だ。組み込みのフードがあるがちゃっちので、しっかりしたフードをつけよう。

◆エピソード
80年代初頭の高校生のころは望遠ズームが一般にも広がりを見れている時期だった。それまでは100mm/135mm/200mmという単焦点をつかうのが一般的だったため、最初のころはまず135mmが欲しいと考えていた。ところが一気に望遠ズームがブームになり、やっぱり望遠といえばズームでしょ、という時代になったのだ。そこで検討していた135mmF3.5よりも明るさがさほど変わらないなら75-150mm F4のズームのほうが、いいじゃないかということになった。当時はレンズ性能よりもコストと使い勝手が優先されたのだ。(その後ほどなくして135mmF3.5はカタログからも姿を消した)

私が初めて買った望遠系レンズこそ、この望遠ズーム75-150mm F4となる。カメラ歴としては2番目にゲットしたレンズだ。中古で買った。ズームとはいえ2倍程度のズーム比。現在では大した性能ではないズーム性能だろうけれども自分としては初めての望遠でもあり、お気に入りのレンズだ。

愛称は「いもレンズ」だけにイモっぽくてダサいのだが、小さく軽いのがいいところだ。

最近になって、当時のプロの間ではずいぶん評価が高かったことを知り意外な感じがした。当時の高校生でも買える比較的リーズナブルな価格で、出荷本数が多いのかそこらじゅうの中古屋で目にする。ごくそこら中にありそうなイモっぽいズームだが高性能だっただなんて。

こういうことがあるのがOMズイコーなんだよなぁ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4

ズームのブーム時代に生まれた隠れた銘玉級望遠ズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4 / ズイコー 望遠ズーム 65-200mm F4
ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4
  • 画 質  ★★★★☆
  • 携帯性  ★★☆
  • 希少性  ★★★★
  • 人気度  ★
  • 総合評価 ★★★
ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4

◆愛称 「ぶーむのずーむ」
私が高校生の80年代初頭に一大望遠ズームブームが起きた。各社競って優秀な望遠レンズを発表した。そんな中、最終的に落ち着いたのが「直進式ズームレンズ型」の70-210mmの3倍ズームだ。カメラ小僧たちはこぞってこの直進式ズームレンズ型の70-210mmを手にして誇らしげに鉄道やらスポーツ撮影にいそしんだ。

そんなブームにあってもオリンパスは独自色を出そうとする。

おなじ3倍ズームでも70-210mmとはせず65-200mmときたのだ。これには私も「そうきたか~」と力が抜けてしまった。80-240とかにすればグレード高く見えるが、65-200とくればダウングレードな印象だが、無理のない設計でレンズ性能を維持したのだろう。F4どおしでこだわりのシャープ描画だ。

こういうのがOMズイコーらしくていい。

◆良いところ
上記の通り、はやりの望遠レンズの一つと思ってたが、ところがズームにしては意外にも性能は絶品だ。シャープでコントラスト色乗りもいい。レンズ性能は単焦点感覚だ。

作例をみていただければわかると思うが、ボケがとてもキレイだ。たいてい古いズームって真のある汚いボケになりがちなのに、ズームにしてふわふわした柔らかいボケがいい。

絞りはF4固定だ。当時のズームレンズは大抵F4~F5.6の変動多かった。

しかも最長の200mmの時にはClause Focusが使えるため、望遠マクロレンズとなるのだ。さすがマクロのOLYMPUSとしてのこだわりだろう。

そしてフードも組み込み内蔵式だ。

と、考えてみれば当時の流行だった70-210mmのどれと比べても秀でていることがわかる。

写りは単焦点並みの性能、マクロ機能付き、フード内臓、F値4固定、こうもそろった、望遠ズームは当時としては珍しいことだったろう。前述のとおり65-200mmというとダウングレードな印象だが、実は高性能。きっと性能重視の姿勢からこの帯域になったのだろう。

それにとてもカッコいい。まあそこは人により見方はちがうだろうが。

◆悪いところ

カメラに着けてストラップで下げてると、重力にしたがってズームが勝手に望遠側に移動する。これは「直進式ズームレンズ」の全て共通に言えることだが、下に向ければスコーンと落ちてしまう。ゆっくり移動するならいいのだが、スッコーンと派手に落ちるのだから頂けない。

ただこれはコツがあって、ズームを200mmに合わせ、ピントをClause Focusにすればズームがロックされる仕組みになっている。慣れればありがたい機能だ。

◆エピソード
この帯域の望遠ズームは、じつに本数が多い。

本レンズ、65-200mm F4に加え
①75-150mm F4
②85-250mm F5
③50-250mm F5
④100-200mm F5
を加えれば5本になる。

それぞれ特徴があるだろうが、①75-150mm F4と②85-250mm F5は古い設計でフォーカシングリングとズームリングの分離した2リング型となる。当時としては古い印象は否めなかった。

他は、ズームとピントを一体化した直進式ズーム型だ。③50-250mm F5は暗いが5倍という高倍率を目指した高級志向のレンズだろう。④100-200mm F5 はコシナのOEMだが、安くて軽くて小さいズームレンズというコンセプトのようだ。

そう引き算をしてみると、65-200mm F4こそ、当時の主流、AKBでいえばセンターのレンズ、オリンパスが一番売りたかったレンズといえるのではないかな?

しかしこのレンズ、もっと人気があってもよさそうなものだ。「銘玉望遠ズーム」と呼ばれても良さそうなものだが。。

<諸元>

ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5

マクロも対応、万能の高倍率標準ズーム

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5/ズイコー 標準ズーム 35-105mm F3.5-4.5
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5
  • 画 質  ★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★☆
ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5

◆愛称 「しんいり」
zuiko 35-105mm F3.5-4.5は、高校生の時の写真部の後輩が持っていたレンズだ。なので「新入り」

このレンズもOM20の発売とほぼ同時に登場した。なので古参からみれば新入りだ。

◆良いところ
何といっても広角~中望遠と、もっとも使用頻度の高い焦点距離をカバーしさらにマクロまでできるその「万能性能」だろう。

画角にあった距離でのピント合わせも自由自在だ。旅行にもってこいだ。実は愛称についても「ばんのうくん」とかにしようかと考えていたぐらいだ。

画質は甘く柔らかい。なんとなく古いエルマーやズミクロンのような滑らかさだ。ここは経年劣化もあと思うし、好みも分かれるだろう。ズイコーの特徴であるカリカリの色乗りコッテリした硬めが好みの人には向かないかもしれない。

コントラストは確かに弱いが、画風次第だろう。モノクロにはいい感じに撮れると思う。

最短撮影距離は1.5mだが、Close Focus機構で0.31mまで接近できる。Close Focusとはマクロのことだ。ただエクステンションチューブが内蔵されていると同等の機能と考えればよい。そのままレンズそのものが前に繰り出してより近くまで寄ることができるのだ。近距離収差補正機構があるわけではないので収差の影響は多分にでそうだが、便利な機能だ。

色合いは明らかに他のズイコーとは違う風味。実はこのレンズ、TokinaのOEMなのだ。その証拠にzuiko 35-105mm F3.5-4.5と全く同じスペックのレンズがTokinaから同じ時期に出ている。見た目もそっくりだ。

「S ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F3.5-4.5」のように「S」がついているのがOEMとのことだったが、zuiko 35-105mm F3.5-4.5については、SがついていなくてもOEMなのだ。ZUIKOはよほどOEMとはいいたくなかったのだろうか。(わたしはごく最近まで純正と思い込んでいたが。)

80年代中盤ごろからにわかにズームレンズがブームになった。OLYMPUSもその時流に乗るためズームレンズの発売を目指すのだが、いかせんレンズ専業メーカに後れをとっていた。開発コストを抑えながら素早く販売したい・・その解決方法がOEMによる提供をうけることだ。自社開発ではどうしても後れを取ってしまうからだ。

当時のターゲットユーザは若者にシフトしていた。若者はお金がないから何本もレンズが揃えられない。多少の品質よりは、安価で広角から望遠までカバーしマクロ機能までついた、万能性の高いレンズのニーズが強くあった。こうした背景からこのレンズはトキナーの提供により生まれたのだろう。

よく見てみるとzuiko 35-105mm F3.5-4.5だけは他のズイコーレンズとは明らかに見た目のデザインがかなり違う。絞りの位置もマウント側だし、マクロ機能をClose Focusと表記するのもこのレンズだけだ。

◆悪いところ
このレンズは前期型と後期型があり、大きさと刻印表記が若干違う。

〇前期型
・S / N <500,000:重さ460g、全長106mm、最大径86mm、最小系42mm、赤外線集束ドット(赤色)がある

〇後期型
・S / N> 50,000:重さ470g、全長107mm、最大径87mm、最小系38mm、赤外線集光ドットなし

このレンズの描写性能はあまりよく言われていないのが現実なのだが、おそらく前期型の性能評価がいろいろいわれているのだろうと思う。

やはり後期の方が光学性能は優れているようだ。後期型であればそこそこの評価できる性能のようだ。もし中古で探す場合は、後期型を強くお勧めする。ただ出荷量が少なかったようで、後期型は中古市場では見つけるのが大変だ。

◆エピソード
80年代の初頭、高一の時にアルバイトで貯めた貯金を全額はたいて親にも泣きついて得た資金で何とか買ったのがOM10とs zuiko 35-70mmF3.5-4.5だった。カメラ屋の主人がずいぶん薦めてくれて値引きも大きかったのだ。するとその年の秋にはOM20が発表された。ははーんそういうことかと。当時の高校生としては大人の巧みな商売の一端を知ることのできた瞬間だ。

その後学校に写真部を作って、2年生になって後輩ができた。その後輩がOM20を持ってたのだがそのOM20のキットとしてついていたのがzuiko 35-105mm F3.5-4.5だった。

先輩である私のOM10+zuiko 35-70mmF3.5-4.5と後輩のOM20+zuiko 35-105mm F3.5-4.5、明らかに後輩が上位グレードにあたる。先輩としては苦労してなけなしのこずかいと貯金をはたいてなんとか手に入れたのだったが、そんお後輩はあっさり親に買ってもらったものだった。

なんとも鼻につく生意気な後輩で、機材に対してはなんとも悔しい思いがあったが、次第にその写真の作品の腕前で優位に立つことができた。先輩としての意地というやつかな。

現在でも機材の良し悪しやグレードの高い低いで自尊心がくすぐられるものだが、それを写真の出来栄えに変えて精進したいものだ。

<諸元>

ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5

コーティング MC
画角
レンズ構成  自動/
絞り・形式/範囲
最短撮影距離
最近接撮影範囲
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径
質量
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-ZOOM 35-105mm F3.5-4.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5

「望遠はコレ1本でイイ!!」って気にさせるちっちゃな入門用中望遠

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5 / ズイコー 中望遠 135mm F3.5
ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★
  • 人気度  ★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5

◆愛称 「ちゅーぼー」
かつて、1980年台前半までの中・高校生にとって135mmといえば身近な望遠レンズだった。

好きな彼女を遠くから隠し撮り。それのためにも望遠レンズが必要だったし、本格的な望遠レンズは憧れの存在で、まずは中望遠の135mmからというのが定番だった。

このzuiko 135mm/f3.5は定価2万5500円ととにかくリーズナブルで、当時の中高生でもなんとか買える望遠レンズだったのだ。

ただ次第にズームレンズの台頭、とくに70~210mm域の望遠ズームのブームにより、135mmはほどなく市場から減少していく。ズームレンズでもF値は4だ。F値が同じぐらいなら望遠ズームの方が使い勝手がいい。市場はそう判断したのだろう。このzuiko 135mm/f3.5もやがて姿を消した。

だが、zuiko 135mm/f3.5をみるたびあのころのくりくりの中学生のころを思いだし懐かしい。

そんなことで「ちゅーぼー」と呼ぶことにしている。語源は「中望遠」だが。

◆良いところ
現在は中古で数百円~数千円で入手が可能で、とてもコストパフォーマンス高いといえる。またとてもコンパクトで手軽に使える中望遠だ。

F2.8レンズと比べると、F3.5レンズは前長で7mm短く、重量で80gも軽く、フィルター径も49mmと小型。一見135 mmとは見えないだろう。これだけのコンパクトさだけでも強烈な個性だ。いつも一緒に連れて行きたくなる。

実はこのレンズはMCタイプの出荷が極めて少ない。MCタイプはレア中のレアと考えた方がいい。なのでネットでの評価はモノコートによるものがほとんどになるわけだ。

一説ではモノコートしか生産されなかったという情報が流布されているがそれは正しくはない。その証拠に私が持っているブツはMCのzuiko 135mm/f3.5なのだ。しったかOMファンは腰を抜かして驚くことだろう。

気になる画質だが、さすがMCだけに、コントラストや色乗りは問題ない。キリリとしているF3.5だけにボケにくいレンズだが、画質はいい方といえるだろう。

◆悪いところ
このレンズはコンパクトさが売りなものの相対的に描画性能の評価があまりよろしくない。「シャープが売りのOMズイコーらしくない」とか、「ふんわりやわらかい描写には向く」など好き放題に言われている。

ただ、これは先にも述べたがあくまでモノコート版の評価だ。MC版とはウンデ―の差であることを付け加えておく。だだ市場はほとんどモノコートなのが悔やまれる。

モノコートの描写性能は、たしかに色再現が地味でコントラストがイマイチな印象だ。

開放では色収差も大きいがF5.6まで絞ることで大きく改善する。また開放で大きく出る色収差とフレアを逆手に取り、レンズに逆光を直接射し込むことで白くふんわりとした軟らかな印象の描写を得ることもできるだろう。

中古市場には豊富に在庫があり、数千円で入手可能だ。まあほしい人にとってはいいことでもあるのだが。先にも述べたがMCの方は結構いい描写評価ができるので希少だがMCを見つけてほしい。市場はそれに気づいていないようで同じように安く売っている。購入時にはじっくる観察して買うことをおすすめしたい。

◆エピソード
このzuiko 135mm/f3.5は実は3回も買い替えた。

最初は銀枠だった。コレクションとして取っておけばよかったが。。。どうも甘いので曇っていると判断して買い替えた。

2つ目はよくある黒枠だがモノコート。E.ZUIKOの銘がついていた。(E.ZUIKOというのはモノコートの証)1本目が甘いのでとして買い替えた2本目も同じ甘いレンズだった。つまりそういう性能だったのだ。

そういうものかとあきらめていたところへ「ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5」を見つけた。このレンズだ。「んんん???」「E.ZUIKO」じゃない!どういうことだ!そう、最終的に出されたシリーズではZUIKOだけの銘となりMC化されていたのだ。(「MC」表記が省略)レンズの輝きも違う。使用感もちがう。やっぱりMCはええのぉ。


<諸元>

ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5

コーティング MC
画角  18°
レンズ構成  4群5枚
絞り・形式/範囲  自動/3.5-22
最短撮影距離  1.5メートル
最近接撮影範囲  32×21cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  73mm/60mm
品質  290g
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥25,500(1981年)

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8

見た目通りの優等生。キリリと凛々しくかっこよく撮れる。

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8 / ズイコー 中望遠 135mm F2.8
ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8
  • 画 質  ★★★★
  • 携帯性  ★★★☆
  • 希少性  ★★★
  • 人気度  ★★★☆
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8

◆愛称 「はんさむ」
だいたいOMズイコーの望遠といえばたいていずんぐりむっくりしていてイモっぽいところがある。そんなイメージだが、このzuiko 135mm/f2.8は他と見た目がちがう。まるでライカのエルマリートM135mmF2.8みたいなかっこよさだ。

「おっかっこいいレンズだな!」=「すごい絵が撮れそうだ」という連想が沸くので「ハンサム」と呼ぶことにした。

◆良いところ
zuiko 135mm/f2.8は見た目のかっこよさ通り、発色もコントラストもよく、良好なシャープネス、ボケもきれいで、大きさもコンパクトで優秀なレンズだ。

かつては望遠といえば135mmだった。この焦点距離は散歩していて丁度いいと感じることが多い。非常に顕著な深度効果を実現してくれて情緒的な絵になる。zuiko 135mm/f2.8はzuiko 135mm/f3.5よりも明るく、優れた性能で、小型軽量で取り扱いしやすい。最大F値は22で、遠近制御の独自の圧縮を最大限にしようとする場合に便利だ。

上記でも書いたが、zuiko 135mm/f2.8の見た目はとてもスタイリッシュでカッコイイ。OMズイコーの望遠らしいイモっぽさがない。また内蔵タイプのレンズフードが装備されていてとても便利だ。

◆悪いところ
欠点ということではないが、一部の噂でzuiko 135mm/f3.5の方が評価が高いという声がある。たしかにOMズイコーの場合はzuiko 28mm/f3.5などのように暗いレンズの方が評価が高いことが多いことから、そういう思い込みもあるかもしれない。自分の目でぜひ確かめてほしい。

ちなみにズームの影響で135mmはあまり人気がなくなったのだろうか、早々にカタログからも姿を消した。そのためか本数も少ないような気がする。状態のいいものを中古で探すのは一苦労だ。それにOMズイコーはF2の単焦点のラインナップが充実しているのが取り柄なのだが、なぜか135のF2がない。おそらく当時はズーム玉の影響で135そのものの人気がイマイチになったのでF2開発は優先順位が低かったのだろう。そうこうしているうちにOMそのものが終了してしまったのではないか。本当に悔やまれる。ちなみに私はSoligor 製の135mm/f2のデザインがOMズイコーぽいので、OMズイコー幻のzuiko 135mm/f2と思い込んで扱うことにした。

◆エピソード
実はこのzuiko 135mm/f2.8は2代目だ。初代はどうもクモリ玉だったようで、ライトを照らすと白っぽくなっていた。

分解して白っぽいレンズを突き止めて、そいつを取り出し磨きにかかった。単なるクモリではなくなかなか落ちない。カビなのかなぁと思ってカビキラーにつけてみたり、中性洗剤をつかってみたり、ついには「激落ちくん」というスポンジ系の研磨をつかってゴシゴシしてしまった。

すると、なんとまだらに透過率の違う面が浮き上がってきて、それが広がっていく。「あれ?汚れがひろがっていく。なんでだろ」っと思って。さらにゴシゴシした。さらに広がっていく。実はコーティング面が剥げていたのだった。それに気づい時には遅く。せっかくのマルチコートをただのガラスにしてしまったのだ・・・。

みなさん。レンズを磨くときはゴシゴシはNGです。やさしくね。


<諸元>

ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8

コーティング MC
画角  18°
レンズ構成  5群5枚
絞り・形式/範囲  自動/2.8-22
最短撮影距離  1.5m
最近接撮影範囲  32x21cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  80mm/61mm
質量  360g
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  調査中

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0  ZUIKO AUTO-T 135mm F2.8  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8

小型軽量による機動性の高さと描写性能で活用の場面は広い

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8 ズイコー 中望遠 100mm F2.8​

 ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8
  • 画 質  ★★★☆
  • 携帯性  ★★★★★
  • 希少性  ★★☆
  • 人気度  ★★★
  • 総合評価 ★★★☆
ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8

◆愛称 「こひゃく」
OMズイコーの100mmには御多分に漏れず大口径版と廉価版がリリースされている。大口径版は言わずと知れた名珠zuiko 100mm/f2であり、廉価版はこのzuiko 100mm/f2.8だ。

OMズイコーらしいレンズといえば大抵、廉価版の方で、実にコンパクトかつ実に優秀なレンズが多い。

筐体をコンパクトにする代わりに描画性能を代償にしてしまうことが多いなか、オリンパスの場場合には、コンパクトであっても描画性能に手を抜いたりぜずにこだわりの技術力をみせてくれる。OMズイコーの魅力の一つだろう。こういう姿勢が今なお熱烈なフアンを持つ所以だろうか。

◆良いところ
非常にコンパクトな逸品だ。全長たったの48mmで、標準じゃないか?と勘違いされてもおかしくないようなzuiko 100mm/f2.8なのだ。

画質も満足できるレベルで、コントラスト高く開放からシャープな描写で、F5.6まで絞ると像の解像力は高くなり、画面の隅々までカッチリとした写りになる。逆光にも強く、発色もよくてナチュラルな発色をしてくれる。小型軽量による機動性の高さと描写性能でとても活用の場面は広く、使えるレンズだ。旅に持って行くのにいい。

◆悪いところ
最短撮影距離が1mとちょっと遠い。近接撮影にはリングを使うといいだろう。私は母艦をSony α7mkIIを使っているが、マウントアダプターにヘリコイド付きのものを使って代用している。そのため、最短撮影距離が1mというのは欠点にならないのだ。

また、比較的ボケにくく固めなのが難点だ。特にボケを意識しない画風にはとても良いが、ボケボケした画風が好みの方にはzuiko 100mm/f2を熱烈にお勧めする。それ以外はとても良いレンズだ。

描画性能は銘玉中の銘玉と称されるzuiko 100mm/f2にはさすがに叶わないのだろうが、機動力を考慮すると総合的にはこっちが上かもしれない。

◆エピソード
zuiko 100mm/f2.8はzuiko 85mm/f2と見た目がそっくりで、外形寸法もほぼ同一だ。zuiko 85mm/f2は柔らか目の女性ポートレート、zuiko 100mm/f2.8は固目の男性ポートレートや風景での利用を意図した味つけがされているらしい。

この大きさ、この軽さ、このデザイン。もう好きでたまらない。前述したがF2の方は最高の画質を誇る伝説の銘玉だが、実際にはこっちの方を持って出すことが多い。なぜなら、この軽快さだ。ひょいっと気軽に持って出せるのがいい。


<諸元>

ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8

コーティング MC
画角  24°
レンズ構成  5群5枚
絞り・形式/範囲  自動/2.8-22
最短撮影距離  1m
最近接撮影範囲  29x19cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径 48mm/60mm
質量  230g
フード  φ49mmねじ込み
フィルター  φ49mmねじ込み
発売時の価格  ¥53,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-T 100mm F2.8  良好 保存&常用

 

<作例>

ZUIKO AUTO-T 100mm F2

OMファンが憧れたOMズイコーを代表する「伝説の名珠」

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 100mm F2 ズイコー 中望遠 100mm F2​

 ZUIKO AUTO-T 100mm F2
  • 画 質  ★★★★★
  • 携帯性  ★★★
  • 希少性  ★★★★★
  • 人気度  ★★★★☆
  • 総合評価 ★★★★☆
ZUIKO AUTO-T 100mm F2

◆愛称 「レジェンド」
zuiko 100mm/f2といえば、OMズイコーを代表する銘玉としてOMファンが憧れた「歴史的名器」だ。zuiko 90mm/f2と人気を二分しているといっていい。なぜ同じ中望遠域で2本もの銘玉が存在するのか?

中望遠域の一般撮影向けとしてのプロ用としてOLYMPUSの技術を余すところなく注いだのがzuiko 100mm/f2だ。当然高い評価を得た。その後登場したのがポートレート用に特化したzuiko 85mm/f2、最後に登場したのがマクロ用に特化したzuiko 90mm/f2だった。

ところがこのルーキーzuiko 90mm/f2はマクロ域のみならず万能として高い評価を得た。よってzuiko 100mm/f2は「かつての銘玉」とよばれるある意味不遇な存在でもある。わたしは敬意を表して「レジェンド」と呼ぶことにしているのだ。

◆良いところ
このzuiko 100mm/f2は、前群に特殊低分散(ED)ガラスと異常分散レンズを採用したアポクロマート構成で、諸収差が極めて低く抑えてあるのが特長だ。

全体繰り出しと後2群フローティングのピント調節によって、0.7mの最短撮影距離を実現している。中望遠にしてはとても短くて便利だ。像倍率1/6まで寄れるのでマクロレンズ的にも使える。もちろん近距離収差補正機構(フローティング システム)も付いているので近接撮影でも性能劣化しずらい作りだ。

当時のOLYMPUSの技術を余すところなく費やした贅沢な作り最高の中望遠だ。極限の描写性能を追求したレンズといえる。

絞り開放から周辺まで極めて優秀な破錠のない写りを見せてくれる。シャープで階調描写(質感描写)も素晴らしい。何より色が良い。光量の少ない場面であっても色乗よく、色の抜けも抜群だ。さすが低分散ガラス!

◆悪いところ
zuiko 100mm/f2に組み込まれている内臓フードは、繰り出し部分が少ししかなくお飾り程度のものだ。レンズは結構大きく太い。なのにアンバランスなほど小さなフード。これはあまりあてにしない方がいい。やはりCONTAXメタルフードNo.5を使用しよう。かっこいいし。

重さはちょうどzuiko 80mm/f2の倍で、ずっしりしている。逆にこのずっしりした感じが高級レンズとしての神々しさをかもちだしているといえるのかも。

◆エピソード
辛口の評価本「写真術」の著者、日沖宗弘氏が著書のなかで絶賛している。「zuiko 100mm/f2は大変優秀と認められるレンズ」だそうだ。

それもそのはずだ。先にも述べたが、なんたって特殊低分散(ED)ガラスと異常分散レンズを採用したアポクロマート構成レンズだ。

普通だったら、このようなレンズの場合、「APO-XXXXX」とか「XXXXX-ED」とか、APO,EDの名称表記で性能を自己主張するものだが、このレンズの場合、そういった名称ではない。

オリンパスは実に謙虚で控えめな名称をつけるものだ。本来なら、
「APO-ZUIKO AUTO-T 100mm F2 ED L
とでも名乗ってもおかしくなかったのではないか。(笑)ごちゃまでだけど。

<諸元>

ZUIKO AUTO-T 100mm F2

コーティング MC
画角  24°
レンズ構成  6群7枚
絞り・形式/範囲  自動/2-22
最短撮影距離  0.7m
最近接撮影範囲  18x12cm
ピント調節方式 直進ヘリコイド
全長/最大径  72mm/70mm
質量  520g
フード  組込み式
フィルター  φ55mmねじ込み
発売時の価格  ¥99,000

 

<所有レンズのデータ>

所有No 名称 コード リア記号 製造年月 状態 用途
Z0 ZUIKO AUTO-T 100mm F2  良好 保存&常用

 

<作例>